180.懐かしい物 ページ31
ht「少し待ってて」
『あ、はい…』
ひとらんは調理場へと向かった。この家はいくつか部屋があるが本当にひとらん1人の家のようだ
何故城にこの空間があるのかは分からないが、明らかにこの空間だけは他とは違い、ひとらんの為だけに作られた世界が広がっているのは分かる
城内はとても広い。
一生城内だけで生きていこうとすれば、本当に生きれてしまうのではないか、ぐらいには広いのだ。その中の一角。ここはほんの一部に過ぎないのだろ。それでもここはAにとっては明らかに懐かしすぎる空間だった
木製の家独特の匂い、城では出来ない裸足で床をふむ感触、畳の上で自然としてしまった正座。空いた襖から見える少し遠くにある懐かしい春の木々。外から聞こえてくる鳥の囀り、今まで生で聞く機会はなかったはずのリズムを刻む竹。その些細な音すらも懐かしく感じる
少ししてから香ってきた味噌汁と焼いた魚の匂い。焼かんが沸騰を知らせる甲高い音
〚(…なんだか)
『(……久しぶりに日本語話した…ずっと使わないようにしてたのに…)』
Aの頬に1本の線が流れる
無性に落ち着く空間。今までの異人としての生活とは明らかにかけ離れた空間に何故か今まで休まらなかった頭と心が落ち着くのがわかる。自然と日本語が出てしまった
ht「…A」
『あ、はい。すみません、用意させてしまって。持ちます』
ht「ありがとう。これAの分ね、俺のも持ってくるから…お茶持ってくるの手伝って貰っていい？」
『はい。もちろんです』
木の廊下を歩き、調理場へと向かう。既に用意されたお茶と湯のみをお盆で運び、先程の部屋へと戻る
「『いただきます』」
手を合わせ、箸をつかい、和食を食べる。懐かしい味に少し頬が緩む
『(おいしい…)』
何だか無性に胸がいっぱいになったA。ひとらんはそんなAを優しく見ながら静かに食事を食べている
『…美味しい、です。本当に………ありがとうございます』
『(あぁ、これはまずいな)』
静かに、望んでいないのに何故か溢れてしまった涙。止めたくても流れてしまう
ht「いいよ、ゆっくり食べな」
静かに言い、Aが静かに涙を零しながら食べるのを見守り一緒に朝食を食べたひとらん
『…ご馳走様でした。とても美味しかったです』
Aは笑顔でお礼を言った。しっかりと泣き止んでから感謝の言葉をひとらんに言った
ht「お粗末さまでした」
彼もまた笑顔で返した
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眼鏡が似合わない人 - とても面白いです！これからどうなっていくんでしょう？いいところで切れてしまってるので、続きが楽しみです。無理せず頑張ってください。 (10月11日 17時) (
レス) @page50 id: bf3237f3d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - めちゃ好きな物語です！続編楽しみにしてます！続編できるまで繰り返し読みます！ (9月9日 13時) (レス) id: f95f0b76ce (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - はあもう好きすぎて無理 (8月26日 2時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！むちゃくちゃ好きです… snpi神が布着けてなかった事を初めて布着けた場面の時に知ったバカですどうも(( 更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (2023年3月5日 18時) (レス) @page40 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2022年12月11日 0時) (レス) @page36 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Zete | 作成日時：2022年2月7日 10時
