少女は放火魔に恋をした様です。

第38話 静【しょくぶつ】 ページ48

フラフラと葛西が部屋から出てきた。


A｢ジャヤどう、だった｣

葛｢治るか、わからねぇ。ヘタしたら、ずっと、らしい｣

A｢私のせいだ。私があんなこと企んで無かったら｣

葛｢違う。全て違う。悪いのは、こんなこと思い着いちまった俺だ。俺なんだ！｣

葛西も珍しく落ち着きがなかった。

私も血の気が引いてくるのを実感する。

もし私があんなこと言いださなかったら、そしたら｢ちょっと、いいかな｣

葛｢……どうした麦(ばく)。何が、｣

麦｢今は一応脳の血液循環を良くするようにしてはいる、けど｣

｢｢…………｣｣

麦｢治る見込みは、無いかもしれない｣

彼は闇医者のなかではかなり優秀らしい。

葛西は彼を｢性格こそ最低だが、腕だけは信用してる｣と言っていた。

そんな彼も、ここまで言うほどだ。

葛｢原因はわかるか？｣

麦｢それがわからない。外傷も無くて、血液検査をしても、特に異物質が見つからないんだ｣

葛｢あいつか。あのクソ魔人、多分低い魔力で、脳に何かを仕込みやがった｣

確かに、今のところはそうとしか考えられなかった。

葛西は少し外に出るといって、携帯を手に出ていった。

多分ジェニーに言うんだろう。

A｢ムギさん、あの｣

麦｢なんだい？｣

A｢心拍とか、呼吸って｣

麦｢それが、普通なんだ。安定してて、おかしいところは見受けられない｣

何も考えられなかった。考えることが、今だけは出来なかった。

ジェニーは、シックスは植物人間に成り果ててる親友(ヴァイジャヤ)に、どんな感情を抱くのだろうか。

バイブが鳴って、携帯を手に取ったら、葛西から着信が来てた。

葛西煙草すってから戻る。獏の言うことはあまり信用するな。


…………


そうだ。一番ショックなのは葛西だ。

多分DRの時から、ずっと。

悲しみは私の比じゃないだろう。

ねぇ、と誰かに縋りたくなったけど、やめた。

だって私は家族が焼け死んだのを、嬉しさ半分で見てた、クズだ。


どうしたら、いいんだろう。


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
岸谷 麦(きしたに ばく)
葛西と同期にして葛西に興味津々(葛西は嫌っている)。もちろん闇医者。
医療技術が神がかってる。
というか診るだけで何処か悪いかわかる。
葛西は獏と呼び、夢主はムギさんと呼んでる
(イメージはデュラララ!!の岸谷新羅みたいな感じです)

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