禪院家の怖がりちゃん【呪術廻戦】

✿ ページ43

半泣きで夏油くんに縋ると、仕方ないな…的な顔でカニを遠くにやってくれた。できればヤドカリ城に入れてほしかったが、そんなこと言ってまたカニに襲われたらヤバいのでお礼だけ言っておく。



…オイ待てなんでまたカニを近づけてくるんだ。「怖がってる表情が可愛くて」だって？オマエさてはイジメっ子体質だろ。人が怖がってるのを楽しむな！！！




『元の場所に返してきてください…』

「ここだけど」

『そうだった』




カニを片手にクスクス笑ってる夏油くんは頼りにならない。むしろ状況が悪化する。そう見切りをつけ黒井さんに頼ると、「青春ですね」と微笑まれた。コレはどう見ても青春なんて美しいものではなく、ただのイジメである。おいコラ元凶、「そうですよね、青春ですよね」と同調するな。オマエが言うんじゃない。



ようやく夏油くんがカニを逃がしたので、ホッと息を吐いて座り込む。「ずっと捕まえてるのは可哀想だし」とかほざいてたので、たぶん私じゃなくてカニが可哀想だったんだろうな。この野郎。




「というか飛行機で来たんですね。大丈夫だったんですか、襲撃とか」

「悟は目がいい。アイツが離陸前に乗客乗員、機内外をチェックして、飛行中は私の呪霊で外を張りました。下手な陸路より安全でしたよ」

『全然楽しくない空の旅だったけどね…』




せっかく窓際の席を確保したのに、外を見たら呪霊と目が合うだけで風景を全然楽しめなかった。なんでアイツ私の方ばっか見てるんだよ。反対側行けや。


いやまぁ理由は分かるよ？隣の席が理子ちゃんだったからな。彼女を守るためってことぐらい理解はしてる。でも「ごゆっくり空の旅をお楽しみください」みたいなこと言われたのに、全く楽しめず終わった。それだけが心残りだわ。帰りは絶対リベンジしてやる。




「それより私は、沖縄を指定してきたことが気になります」

「時間稼ぎじゃないんですか？理子様を殺められなくても明日の満月に間に合わないよう」

「それなら交通インフラの整っていない地方を選びます」

『じゃあアレだ、最期くらい沖縄で観光楽しめっていう呪詛師なりの分かりにくい気遣いとか』

「100％違う」

『即答…』




そんなに言う？？私だって有り得ないとは思ったけど。呪詛師がそんな気遣いするワケねぇしな。だいたい、気遣うなら懸賞金のために殺しに来ねぇわ。

✿→←✿

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す