✿ ページ23
胸元を押さえた私を見た真希が、「真依、そんなの聞いちゃダメだろ」と言う。ま、真希…！と目を輝かせた私は、続いた言葉を聞いて死んだ目になった。
「Aちゃんが恋できると思うか？男が近づいただけでビビるのに」
「あ、確かに」
『ちょっと？』
失礼な。いくら恋に不向きだからって、一生恋愛できないみたいな発言はしないでほしい。私だってやろうと思えばやれるのだ。
「でもAちゃん、初恋まだでしょ？」
『いやいや、アレが初恋だったと思ってる、たぶん』
「えっ………？」
「Aちゃんなのに…？」
『ねぇ、さっきから失礼すぎない？？』
私の印象どうなってんだ。そんなに恋愛できない人間だと思われてたのか。
とは言え初恋とか言ってみたけど、未だにアレが初恋だったのか分かんないんだよな。今にして思えば、初恋じゃなかった気もする。誰も私を見てくれない家で、唯一私自身を見てくれた師匠。あの圧倒的な強さと、私という1人の人間に向き合ってくれた師匠に惹かれ………でもホレてはないかもしれない。アッ待って、それだと本当に恋愛できない人間みたいだからやっぱ初恋にしよう、うん(記憶の捏造)
「ちなみに誰だったんだ？その相手」
『う〜〜ん………真希は知らない人じゃないかな…』
「まさかアイツだったり…？」
『言っとくけど直哉じゃないよ』
そう言うと、ホッと安心した表情を浮かべた2人。アイツの人望マジでねぇな。
「告白は？」
『私の誕生日にプレゼントやるって言ってくれたその人に、何をとち狂ったか『じゃあ師匠の人生ください』ってプロポーズもどきはした』
「狂ってんな」
『ドストレートな発言やめて』
安心しろ、「ハッ、ガキがプロポーズかよ」って鼻で笑われたから。『ぷろぽーず？』ってキョトンとしたのも懐かしい。幸い師匠がお嫁さん見つける前だったから良かったものの、結婚したあとだったら終わっていた。色々と。我が人生最大の黒歴史である。
思い返すとだんだん恥ずかしくなってきた私は、顔を覆って呻いた。くっそー、恥ずかしい。師匠忘れててくんねーかな。今はもう何とも思ってねぇからさ。たぶん昔も何とも思ってなかったけど。
「Aさん」と呼ばれ、ようやく顔を上げた。あ、新入りの使用人だ。彼曰く、また宴会が忙しくなってきたんだとか。なるほどサボりから帰ってこいと。
『じゃーね真希、真依』と手を振って、私はその場から歩き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 759人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おもち食べたい(プロフ) - 藍さん» あんまり良い扱いはされなかったんだろうなーということはなんとなく察してますが、主人公が言い出すのを待ってる感じですね。ただ、わざわざ自分から言うことでもないので、主人公が自分から言い出すことはしばらくないんじゃないかな…(たぶん) (10月1日 17時) (
レス) id: 20bccc651c (このIDを非表示/違反報告)
藍 - さしす達は主人公の過去というか扱いとは知らないんですか？ (9月30日 18時) (レス) @page36 id: 23ef5c5b40 (このIDを非表示/違反報告)
おもち食べたい(プロフ) - ふゆねこさん» ありがとうございます！不定期更新ですが、これからも頑張ります (9月10日 22時) (レス) id: 20bccc651c (このIDを非表示/違反報告)
ふゆねこ(プロフ) - 面白いですねぇ！更新楽しみにしておりますわわ！！！ (9月10日 21時) (レス) @page11 id: cd0c30d1f0 (このIDを非表示/違反報告)
おもち食べたい(プロフ) - 日出さん» ありがとうございます！これからも更新頑張りますね (9月10日 18時) (レス) id: 20bccc651c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おもち食べたい
| 作成日時：2023年9月9日 17時
