禪院家の怖がりちゃん【呪術廻戦】

✿ ページ20

えー、やって来ましたin京都。帰っていいですか(早い)



久々に友達に会い、子犬を引き渡す。へー、高校生を満喫してるんだ。新しい友達もできて人生初の彼氏もできた？友達3人しか作れず彼氏なんて考えたこともない私への嫌味かな？？？



八ツ橋食べて頑張って時間を潰していると、《早く来なさい》というお叱りのメールが届き、しぶしぶ重い腰を上げる。文面から怒りのオーラが溢れ出てた。そんなに忙しいなら新しい人雇ったらどうですかね。



半分キレながら禪院家に着き、用意されていた和服に着替えて使用人の手伝いをする。綺麗に盛り付けられた食事を見て、なぜか上の奴らを殴りたくなった。一応同じ一族の人間なのに、なんだこの格差社会は。そもそも今日は何の集まりなんだ。



そう聞くと、「直哉様の婚約者探し」と端的に教えられる。あぁ…そういえば次期当主って言われてたなアイツ……。次期当主サマともなると、いい加減婚約者サマを決めねばならんらしい。同じ御三家の五条くんからはそんな話一度も聞いたことないんスけど。のらりくらりと躱してるのかな。




＿＿＿給仕として会場に入るなり、あまりのカオスに襖を閉めたくなった。上のオジーサマたちは酔っ払ってるし、お嬢サマたちは獲物を狩る目で直哉を見ている人もいれば今にも泣き出しそうな人もいる。後者は直哉に泣かされた感じかな。その肝心の直哉と言えば、やらされてます感満載のオーラで女の子を追い払っていた。オマエのための集まりなのに、その対応でいいのか。

ハッキリ言おう。この空間、怖い。



さっさと出てくため手早く給仕を済ませ、すぐに会場を出る。怖かった。もう絶対給仕なんてしな───




「Aちゃん」

『ヒッ………！？』




ビクッと肩を震わせ、勢いよく後ろを振り向いた。そこにいたのは、間違いなく今回の主役の直哉で。おいおい我が従弟くんよ、何でここにおんねん。早よ会場に戻ってくれへん？…ヤベェ今口調がブレッブレだったぞ。




「ずいぶんと久しぶりやね。東京校から追い出された？」




違いますけど？と言いたかったが、長年染みついた恐怖というのは案外消えないものだ。唇をギュッと噛みしめ、従弟が飽きるのを待つ。早くどこか行ってほしい。いや、どこかじゃなくて会場に戻ってほしい。こんなとこ誰かに見られたら確実に私が怒られる。なんて理不尽な世界なんだ。

✿→←✿

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す