禪院家の怖がりちゃん【呪術廻戦】

✿ ページ19

「元の場所に返してきなさい」

『デスヨネー』




ダンボール箱ごと持って帰ってきた私と遭遇した夜蛾先生が、開口一番そう言った。そう言われると思ったよ。




『でも先生、また捨てられたこと恨んで私を呪ったらどうすりゃいいんですか』

「拾ってこなければ良かったじゃないか」

『うぐっ……』




ごもっとも。「さっさと返してこいよ」とだけ言って去ってしまった先生。冷たい。



まぁいっか、元から高専では飼えないと思ってたし。里親が見つかるまでの間とりあえず連れてきただけだ。何より、拾ってきた張本人である私に飼う意思はない。こんな環境で育てるのは子犬が可哀想だろう。



京都にいた頃の友達にイヌ好きの子が何人かいた。彼女らに片っ端からメール送っておいたから、誰か里親になってくれる人が見つかるハズだ。見つかったら、ちょうど京都に用事がある私が連れていけばいい。うん、全部解決したな。




ピコン、と音が鳴り、携帯にメールが届く。それを開いて内容を確認した私は、小さく笑みを浮かべた。里親になってくれるんだ。ありがたい。



里親発見に安心した直後、再び鳴った携帯。嫌な予感がしつつも内容を確認し、ため息を吐いてその場に座り込む。おいおいウソだろ、オマエも里親希望かよ。面倒くさがって片っ端から送るべきじゃなかった。また問題発生かよチクショー。



どうせオマエらご近所さんなんだし、ジャンケンで勝った方な。そう送った数分後、片方からは歓喜のメールが、もう片方からは呪いのメールが送られてきた。何あの文章、こわ………。









＿＿＿＿＿『ということで、しばらく帰省します』

「認めません」

『は？？？』




問題も全て解決し、京都に行くことを3人に伝えると、即座に断られた。夜蛾先生の許可も得たのに？？荷造りも終わったのに？？




『認めないって言われましても…』

「京都に行ってる間に餓死したらどうすんだよ」

『しないよ？？』




あの事件以降、同級生がやたらと食生活を心配してくる。私だって反省して食べてるんだから放っといてくれ。というか、あの日が例外だっただけって何回も説明してますよね？



新幹線は小型犬なら乗れるっぽいし、そもそもイヌの件がなくても京都には行かなきゃいけねぇみたいんだよな。禪院家の使用人から来たメールを見て、本日何度目か分からないため息をついた。




《宴会の人手不足。帰ってきなさい》




いや私使用人じゃねぇんだけど。

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