禪院家の怖がりちゃん【呪術廻戦】

✿ ページ16

硝子から(たぶん)愛あるデコピンを食らわされたところで、ガラッと検死室のドアが開いた。そちらを見ると、血相を変えた夏油くんと暗い雰囲気を纏う五条くんがいて。ゴメンね五条くん、私まだ死んでないんだ。だからお通夜みたいな雰囲気出さないでくれるかな。検死室でその雰囲気は流石に笑えないから。



恐らく、五条くんから私の死という嘘しかない情報を聞き、慌てて帰ってきたんだろう。無言で私を見て、五条くんを見、そしてまた私を見た夏油くんは、硝子と同じくため息をついてその場に座り込んだ。




「………硝子、説明してくれ」

「空腹と寝不足」

「全部察した」




そんな短い説明で全部察してしまう夏油くんも夏油くんだが、それはさておき五条くんよ。「は？」って顔しないでほしい。それはこっちのセリフだよバカヤロー。同級生を勝手に殺すな。




「おまっ、何倒れてんだよ。心配しただろうが！」

『五条くんに心配って感覚あったんだね…』

「失礼すぎるだろ」

『五条悟とか特級って肩書で心の中にバリケード作ってゴメンね。今後はパーテーションにするから』

「壁はあるんだな」




悪いな。もうちょっとの間、壁は作らしてくれ。これでも、まだ完全にはキミらへの恐怖が抜けてねーんだわ。



「おいクズ共」と硝子が2人に話しかけた。ク、クズ共って……硝子サン………。




「Aに何か食わせろ。じゃなきゃ死ぬぞコイツ」

『死なない死なない。今日だけ燃費が悪かったんだって』

「そんな日替わりで体質が変わってたまるか」




硝子は？と聞くと、まだ怪我人がいるとのこと。硝子こそ食べなきゃ死ぬんじゃねぇのか。硝子が死なないようにお菓子をあげようとして、ストックが切れてたのを思い出した。だから空腹になったのか。ようやく理解したぞ。



「行くぞ」と首根っこ掴まれて引きずられていく私を、硝子が苦笑いしつつ「じゃあな」と手を振って見送る。ちゃんと食べるからそうやって引きずんな！苦しいんだよ！！(キレ)

✿→←✿

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す