【d!】貴方と幸せになりたくて (ページ5)

今日:13 hit、昨日:130 hit、合計:36,794 hit

5 ページ5

返答に困っていると、彼は優しく笑みを浮かべて首を傾げる
それは答えを待ってくれているということだと気づいて
どうしようどうしよう、と目を泳がせた時

教室外から、声

ショッピ
「アヤ、帰ろ」

見れば出入り口のところでひらりと手を振るショッピの姿
チャンスだった

「…！あのっ、ごめんなさい…私、ッい"…！？」

しかしその瞬間
彼が触れている手の骨が一瞬…折れてしまったかと錯覚するような凄まじい力で握り込まれた

ギリギリと肉すら千切れてしまいそうなその痛みに
思わず呻いたものの…目の前の彼の瞳を見て…
一瞬で声が出なくなってしまった

冷たい、冷たい…
あの優しさのかけらもないようなエメラルドグリーン

追いかける男と同じ、あの…
鋭くて、冷たくて…闇の底を直接見ているかのような気になるあの瞳

鳥井
「……なぁ、アイツ……友達？」

赤い血が反射したあの夢のように彼は私を見つめていた
でもそこにはあの愛情はない気がして…

あれが、夢じゃなかったみたいで恐ろしい
何度も死んでいるから夢なのだけど、夢じゃなかったみたいな嫌な気持ちになる

もう私は死んじゃうんじゃないかって…思ってしまう

答えを間違ってはいけない
答えを…間違っては…

「……っ…」

鳥井
「恋人…彼氏とかちゃうよな…？」

あぁ、先回りしてそう言われたら…
違いますと言わないといけない気がするじゃないか

だが…

ショッピ
「すみません先輩、アヤ怖がってるんで離してやってもらっても良いですか」

鳥井
「あ"？」

威嚇されたのは私じゃないのに、私の体の方が跳ねた

鳥井
「…邪魔すんなや」

ショッピ
「はぁ…アヤ、帰ろ」

小さな溜息をついたショッピが手を差し伸ばすも
それを払ったのは鳥井さんの手で
鳥井さんの手は未だ私の手を強く握っている
それはもう…痛いくらいに

ショッピ
「痛がってるやん」

鳥井
「お前が引けばええだけの話やろ」

ショッピ
「先輩…人の彼女取ろうとしてそれはダメでしょ」

瞬間、バッとエメラルドグリーンの瞳が此方を見た
彼の顔がそのまま此方を向いたという感じだが

ふとその表情が酷く泣きそうなものであることに気付いた

あの…夢の中の、表情に…酷似している