【d!】貴方と幸せになりたくて (ページ38)

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シャオロンさんはどうやら、友人と一緒に来ていたらしく
そのお友達さんがトイレに行っている間に
ゾムのことを見つけて絡みに来ていたらしい

シャオロンさんは、普通にとてもいい人だった
彼女欲しいとか言ってたけど
なんで彼女いないんだろうって思うくらいに

友人が戻ってきたタイミングで
シャオロンさんは手を振って戻って行った

シャオロン
「またなアヤちゃん！あとゾム！」

と言って

……それ以降ゾムが、喋らない
売店で改めてぬいぐるみを買ってくると言っても、小さな肯定の音のみ

しかし、

ゾム
「な…ぁ…これ俺、喜んでええやつ？」

人通りの少ない場所まで移動して、ゾムは振り返った

だがゾムは私の手を握って
後ろに数歩そのまま歩き
更に人の目につかない路地裏の様な場所へと入り込んでいく

少しだけ、怖かった
また…何か怒りに触れてしまったのかと

また…怯えていた

ゾム
「アヤ」

抱きしめられた
強く…だけど、キツくではない

ゾム
「ッ…俺今めっちゃ嬉しいんやけど…
ちゃんと、デートやと思って貰えてたことも…
アヤが、嫉妬とかしてくれた、ことも」

震えた声
掻き抱く様な手に応える様に、彼の背に手を寄せると
ゾムの喉がｷｭｩ…とか細い音を立てたのが聞こえた

バクバクと心臓が脈打ってるのだが
それがどっちの心臓か分からなくなりそうな距離感

遠くの雑踏が消えてしまったかの様だった

ゾム
「アヤも…不安になってくれるんやって…」

消え入りそうとは違う
切なくて甘い様な、そんな声が震えていて
背中を撫でると頬擦りされる

ゾム
「………俺、明日にでも死ぬんかな…また…お前を置いて」

寂しそうな声がする
ゾムの手が離れることはなくて、どう声をかけるも出来ず待っていると
ゾムの体がゆっくりと離れていく

その顔は今にも泣きそうで
ジクジクと胸の中で、知らない傷が痛む様な感覚がする
そんな顔をしないで欲しくて…
自覚したらもう、そう思ってしまう

だから、その顔に手を伸ばして
届かないって分かったから背伸びをして首に腕をまわし
無理矢理引き寄せた

痛くたって知らない
いや、申し訳ないけど

今は彼の不安が少しでも、少なくなったらって…思ったから

初めて私から、キスをした