【d!】貴方と幸せになりたくて (ページ26)

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ゾム
「………あぃふんねん」

ゾムの口を掌で塞いだ
不満気にこちらを見るゾムの顔が直視出来ず、一瞬目を逸らしたものの
でもそれじゃダメだと改めて目を合わせる

「……私、その昔？の記憶はないし、真偽も分からない」

けど、夢の中の出来事を言い当てたこともそうだし
何よりあの夢の中での彼はいつだって『愛してる』と言った

私は確かに気圧されてこそいたけど
惚れさせると言われてすぐに好きになっていたのだって事実

ちょっと束縛が強いなとかは思っていたけど

「…でも、ゾムのこと今だって嫌いじゃないよ」

ゾム
「…………」

「あの…ｯ………なんなら束縛強いなぁとか思ったところの理由もわかったし…」

ゾム
「あ、やっぱそう思ってたんや…」

しょん、と明らかに落ち込んで
体を離してその場に座るゾムに、やらかしたかと冷や汗が出る

「ゃ…ちょっとね…ちょっと…」

ゾム
「いや、分かってんねん…相当言ってたことは…

でもな…こうやって一番最初から俺のこと好きになってくれたことは…前にもあったんやけど
元々その辺嫉妬とかしやすいもののやり過ぎたらあかんか思って堪えてたら
俺より別のが好きになったとか吐かすようになってもうたことあってな

ふざけんなって話やん」

そんなまるでお前の責任みたいな言われ方をしても…困る

ただそれ故にだったらしい

ゾム
「…なぁ、アヤ
俺のこと好き…？」

エメラルドグリーンが、不安で揺れていた
あぁ、断ったら死ぬんだろうなっていうのも分かった

…でもそれより…
夢と現実は区別していたけど、同一人物だったことで
色々思考がめちゃくちゃになっているのが一番困る

一応ゾムだけど、ゾムじゃない認識であったのだが

「確かに夢のせいで怖かったし、束縛激しいなとは思ったんだけど…
それでも、ね……好き……かな」

恥ずかしくなってしまった
目を逸らすと、ゾムの手がそれを遮って目を合わせてくる

ゾム
「…なぁ、アヤ
浮気したり、俺のこと避けたり、要らんってしたら怒るから
俺だけちゃんと見てて」

あの日の言葉は全部、彼の切実な願いに直結するらしい
ずっとずっと育ててきた愛情に

一度頷けば、彼はくしゃくしゃと泣きそうな顔で笑ってみせた