【d!】貴方と幸せになりたくて (ページ23)

今日:29 hit、昨日:130 hit、合計:36,810 hit

23 ページ23

「夢、で…」

ゾム
「夢？」

パチリと、目がこちらを向く
優しい顔
…さっきの怖さは、ない

「…うん……
昔から…ゾムに会う前から、ずっと…もうちょっと大人になったゾムみたいな人に…殺される夢、見てたの

変だと、思うでしょ

ただ、その…」

ゾム
「全然
それやったら…多分、森の中の話も知ってるんやろ」

小屋の中、と呟く彼の目を見ても
もう視線は合わない

「…奥の部屋」

ゾム
「アヤが、全部思い出してくれるように閉じ込めてた部屋」

そう、だったんだ
詳しいことは分からなかったが…
やっぱり閉じ込められてたんだ

…待って
やっぱりゾムは、

ゾム
「そ、……っかぁ…」

心底苦しそうな声で溜息混じりに笑ったゾムは
また泣きそうな表情も浮かべていた

ゾム
「じゃあ、なんで俺がこんなんになってんのかも…
アヤには分からんのや」

「っ…あの、夢は…」

ゾム
「本当にあったことやで、全部…
あ、全部って言っても俺が出てるやつだと思う
俺見てないから…わからんけど」

つん、とゾムの片手の人差し指が頬をつついた

ゾム
「……全部、それこそ夢みたいな話やけど
アヤが見た殺される夢って、多分全部本当にあったことやねん

前世とかって信じる？」

前世…

「でも、魔法とか…」

ゾム
「あぁ、あれな…あれもそう…
世界って今いる世界だけちゃうから、此処じゃファンタジーの魔法もある場所はある

あのな、説明するんやけど…
一番最初、俺とアヤはゴミの山でできたみたいな場所で出会った
でもそれ覚えてるのって俺だけで
その時アルビノやったアヤを無理矢理連れて逃げたら、アルビノの扱いが悪魔とかやったから…すげぇ迫害受けて攻撃くらってな
俺のこと覚えてなかったみたいやから、後でまた初めましてしたんやけど

俺意地悪したから、アヤ俺のこと嫌いやねん
けど俺ほんまモンの初めましての時からアヤのこと好きやから付き纏っててん

んでな…数年かけて、付き合ったんやで？」

遠い昔を眺める目
想像もつき難い簡単に要約されて話されていくそれは
あまりにも突飛で…信じがたい話だった