【d!】貴方と幸せになりたくて (ページ21)

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市販の睡眠の質を上げるみたいなものは色々試してみている

けどあくまで市販の『薬』は
常用が宜しくないと書かれているから
食品とかにそういう成分が入っているものを選んで

睡眠の質の問題か分からないけど

ただ毎日その夢を見るわけではないから
効果はどんな感じですとは、まだ全然言い難い

土曜日だから寝ようとか、そういう感じにもならないし
暇だなぁと思っていた時だった

ピーンポーンとインターホンが鳴ったのは

見ればそこにはゾムが居て
来るとかメールきた覚えはないんだけどな…
どうやら突然の訪問らしい

…部屋着だなぁ、とは思った
寝癖こそ直したし顔を洗ったり歯を磨いたりはしたけど
今日は部屋を出る気がなかったから、部屋着のまま

うーんと迷ったが、待たせるほうが悪いと思って鍵を開けた

「おはよう、ゾム…どうしたの？」

ゾム
「………」

とんっ、と肩が押されてよろめいた

バタンとドアが閉まる音
ガチャンと鍵の閉まる音がして

冷や汗が流れた

あれ、これ…いつもの、夢に近い…な、って…

だって彼は用意周到だ
逃げ出して、慌てて開けようとして鍵がかかっていたとか
よくあった…
あぁでも違うゾムだ、だめだ、混同しちゃう…

靴を脱いで少し距離を取ると
彼はパッと靴を脱ぎ捨てて歩み寄ってくる

何が何だか分からず
否…殺されると確信してしまって…

ゆるく首を振って、後退った

「まっ、て…待ってゾム……やだ……」

ゾム
「………ちっ…」

背筋が凍るような恐怖
エメラルドグリーンの瞳が覗く目が、また苦しそうに歪む

ゾム
「アヤ」

扉にぶつかった
突き当たりってやつだ

この扉は今の私から見て内開き
こうなった以上開けて入るなんてことは出来ない

「ゃ…ゾム、待って……やだって…」

ゾム
「なぁアヤ」

「やだｯ……！！やだ、いやだっ…！！」

冷や汗が落ちる
袋小路の自分に出来ることはもう、命乞いしかなかった

それは正夢だと、頭が、痛い

「殺さな、いでｯ……
逃げな、い…逃げないからっ……いい子、に、してるからっ…！」

ぴたり、止まった足のことなんて知らず
頭を抱えて震える私に

ゾムの声が落ちてきた