【d!】貴方と幸せになりたくて (ページ18)

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また…夢だ
あの夢…

広い森の中に隠れるように
三角屋根のロッジのようなものがあった

外には木製のブランコがあって…
あぁ、この辺は木がない
けどそれも柵で囲っている範囲だけ

綺麗だった

手入れのされた綺麗な……

名前が呼ばれた

「…！」

見ればそこには
やっぱり大人の姿になったかの様なゾムがいて

ゾムは森の方から帰ってきたらしいけれど…
その手にはナイフを持っていた

「ｯ…」

ゾム
「あぁごめん、これ怖いよな
見てほら、ええ感じに採って来れたんやわ」

彼が見せたのは竹を編んだ籠の様なもの
その中には木の実などと称するべきなのであろう見たことのないものが沢山入っていた

…殺す気は…無さそう…？

だがそう思ったのも束の間
ふ…と彼の表情が抜け落ちた様に見えた

ゾム
「んで、勝手に外出て何してんの？」

「っ…あ………」

籠を置いたゾムが大股で素早く近付いてきて
あぁ、逃げられないと悟った

「待っ、てた……だけ…」

ゾム
「…待っ……ふ…は、待っててくれたん？」

あれ…上機嫌だ…
なんで…

ゾム
「そっか…待っててくれたんや…ありがと
もう大丈夫やから、帰ろうな」

ほら、と連れられてロッジに入る
見たことのないデザインのライトが掛かった室内は
思っていたよりも広かった

ゾム
「今日はあの部屋行かんでええよ」

あの、部屋…？

ゾム
「やっと…やっと分かってくれたんやな」

革張りのソファーに座った彼に抱きすくめられて
首元に埋められた顔が、すり寄せられて擽ったかった

泣きそうな声…

だが…私の困惑する意思とは反対に
私の手は、酷く震えていた

よく見れば、爪がボロボロで、傷跡が多い

何これ…

ゾム
「…ごめん、ビックリさせたわ
風呂の準備してくるから…いい子に待ってて」

立ち上がった彼は、お風呂場の方へと消えていく

ぽつんと置いて行かれた私は…
何をしたらいいのかわからず…

ただ、外に出たらまた殺されそうだと思って
室内を探索する

向こうで彼が何かをしている音がする
ただ、一緒に鼻歌が微かに聞こえているから
随分とご機嫌なのが分かる

「………あの部屋…」

何処だろう

ただ、奥の方へ続く廊下を通った時
足がピタリと止まった