雪112片 ページ21
─
「急いてさせたくはありませんから。
心の準備が出来たら上がってきてください」
……………………。
クイ、と立ち去りかけた裾を掴む。
「?」
……んなんできる訳ねえだろうが
「……悠長な事言ってっと永遠に待ちぼうけ食らう羽目になるぞ。
強引にでも連れてけ、バカ……」
「……ん”ん!」
「は?」
咳き込む音がして顔を上げると、片手で口を抑えてそっぽを向いていた。
その顔は、告白したときでも見なかった、真っ赤に染まった顔で。
何でお前が照れんだよ。
「……貴女は本当に、私を煽るのがお上手で」
煽った覚えないんだけど
心中のツッコみもお構い無しに私を抱き上げて足を進める彼。
いやコイツどこにこんな力あんだ細いくせに
「いや下ろせって、腕痛めるぞ」
「やりたくてやっているので」
為す術もなく2階まで横抱きの状態で行く。
部屋に入るとベッドに腰かけさせられた。
トクトクと心臓が早鐘を打ち始める。
手を伸ばして枕元のシェードランプを灯すと仄明るい光がシーツの皺にまで陰影をつける。
「遙治……」
初めて、彼の名をそっと呼んでみる。
触れるだけのキスと一緒に、服のボタンに手がかかった。
肩越しに荘厳な満月が目に映る。
それが、彼の琥珀のような金の瞳と並んで。
漫画のワンシーンのようだと思った。
ついでに小説みたいなことも頭の中で呟く。
長い夜になりそうだ……と。
互いの熱い肌が触れ合った。
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camellia(プロフ) - あみさん» ありがとうございます!続編もよろしくお願いします、頑張ります!! (2019年8月1日 15時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
あみ - とっても面白かったです!これからも頑張って下さい! (2019年8月1日 15時) (レス) id: e50713e1b7 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - え、携帯のお調子大丈夫ですか!? わーい(ノ≧▽≦)ノ そう言っていただけると嬉しいです! 正直リアルでの恋愛ゼロなので推しへの愛でここまで書けるとは思ってもなかったです() こっから面白くさせますよー!!! (2019年7月18日 7時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
SR400 - 携帯壊れてから見てなかったんですが、久しぶりに見るとやっばり面白いです!めっちゃキュンキュンしました! (2019年7月17日 22時) (レス) id: d097415149 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - SR400さん» 優しいお言葉誠にありがとうございます(*´▽`*) 9話にも及ぶ長ったらしさによくぞお付き合いいただけました。これからも頑張らさせていただけます! (2019年6月30日 8時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:camellia | 作成日時:2019年5月1日 8時