雪103片 ページ11
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「……ほ、んとうに?」
漸く出たのは、情けないくらいか細い声。
「逆に、『本当ではない』というのは一体何なんですか?」
「…………寝床を失うのが嫌だから、わざと好きでもない私に合わせてたりとか……」
「……へえ、そういうこと思ってたんですね」
低い声にビビりながらゆっっくり顔を上げる。
「私がたかが寝床と食事を失わない為だけに人の気持ちを弄ぶような人間に見えますか?」
……じゅーぶん見えてしまう。
と思ったのは言わなくても伝わったようだ。
大きく、ため息をつかれる。
「彼岸花云々でうじうじ言ってたわりに他の花の花言葉、全く知らないんですね」
おお、この毒舌っぷり通常運転。
……花言葉?
コイツから貰った花と言えば、最近で言えば一つしか思い当たらない。
「……胡蝶蘭?『幸せが飛んでくる』?」
「それは白い方です。ピンクの胡蝶蘭は、
『あなたを愛しています』ですよ」
「へ……」
それが意味することは、つまり。
私が恋心を自覚した頃に、コイツも
──────遠山も。
私を好いていたということ。
「……貴女と居る時間が心地好いと思った。
貴女の笑顔が見たいと思った。
──────貴女に、触れたいと思った。
これは、そういう感情ではないのですか?」
「……と、しぃ…………」
微かに零れた言葉は途切れた。
ん?と覗きこんでくる彼を恥ずかしさのあまりぶっ叩きたくなるのを必死でおさえた。
「……そうだと、嬉しい…………!!」
言ってギュッと目を瞑る。
小指の先まで真っ赤に染まっていそうでとても見たくはなかったから。
急に体が前のめりに倒れ、柔らかい何かと薔薇の香りが鼻先を掠めた。
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camellia(プロフ) - あみさん» ありがとうございます!続編もよろしくお願いします、頑張ります!! (2019年8月1日 15時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
あみ - とっても面白かったです!これからも頑張って下さい! (2019年8月1日 15時) (レス) id: e50713e1b7 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - え、携帯のお調子大丈夫ですか!? わーい(ノ≧▽≦)ノ そう言っていただけると嬉しいです! 正直リアルでの恋愛ゼロなので推しへの愛でここまで書けるとは思ってもなかったです() こっから面白くさせますよー!!! (2019年7月18日 7時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
SR400 - 携帯壊れてから見てなかったんですが、久しぶりに見るとやっばり面白いです!めっちゃキュンキュンしました! (2019年7月17日 22時) (レス) id: d097415149 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - SR400さん» 優しいお言葉誠にありがとうございます(*´▽`*) 9話にも及ぶ長ったらしさによくぞお付き合いいただけました。これからも頑張らさせていただけます! (2019年6月30日 8時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:camellia | 作成日時:2019年5月1日 8時