雪の日に拾ったのは犯罪芸術家でした。 Second

雪雲83つ ページ36

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　様々なニュースの概要が、朝のリビングに 響いている。




　それらを聞く彼は、先程自身で淹れてカップに注いだコーヒーを啜った。





　いつもなら手元にある英字新聞は今日はない。




　コーヒーを飲む片手に普段はある筈のそれがないことで若干手持ちぶさたになり、仕方なく殺伐とした報せ達に耳をかたむけた。






　『続いてのニュースです。




　昨日13時頃、市立図書館にて、50代の男が刃物を向けて職員を威嚇し、





　更に隠し持っていた拳銃を発砲、職員の一人に怪我を負わせるという事件が発生しました。





　撃たれた職員は重体で、現在も意識不明の状態です』






　ふと、焦げ茶色の液体を吸い込む彼の唇が静止した。






　その市立図書館に足を運ぶことは無いに等しかったが、数年前にとある知り合いから一報を受けていた。






　『この度、市立図書館で司書として就職が決まりました。




　ご都合が合えば、是非ご来館くださいね』





　生憎行く暇はなかったが、その事実だけは頭の片隅に留まっていた。





　……図らずも、彼女の泣き顔と共に。





　まさか…………




　しっかりとかかっていなかった眼鏡がズルリとズれ、視界が一瞬で水中に入ったようになる。





　「……」





　まだ知るその相手だとは決まっていないのに少なからず動揺した自らを戒め、改めてブリッジを押し上げる。





　正常に戻った世界を確認し、彼は出勤の支度を始めた。









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