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結晶67粒 ページ19









 「……まさか、承諾してくれるなんて思いもしなかったわ。ありがとう」





 運転席でハンドルを握る浅葱さんが言う。





 「受験勉強の息抜きですよ。」




 「……息抜きで、自分の両親を殺した男にそう簡単に会えるものなのか?君は」





 「(ゆう)くーん、せっかくここまでこぎつけたんだから機嫌損ねるような事言わないでよ〜」





 間延びした声の浅葱さんに、勇くん言うなと吾妻さんが吐き捨てる。




 別に本当に息抜きしにきた訳じゃない。





 取材対象として無遠慮に踏み込むでなく、被害者として腫れ物のように扱うでなく。





 敢えて私と、彼を引き合わせようとした彼女に少し付き合ってみたいと思ったのだ。





 しかしこれは、言っといた方が良いのか。




 暫く沈黙に包まれ、口を開いた。






 「……特に表だって言うことでもなかったので黙っていたんですけどね。





 殺された人達の実子ではないこと」





 ギュキュインッと耳障りな音が鼓膜を貫く。





 前のめりになった体を何とか立て直した。







 「…………本当なのかい?」




 「この状況で嘘吐くほど性格歪んでません」





 「……養女にしては、随分と仲が良かったのね」





 急停止した車は再び動き出す。






 「もともと6歳くらいの、小学校に上がる寸前でお子さんを亡くしてたらしくて。




 目や年齢と、名字も同じだったことで、私と面会して引き取ることは即決だったと」






 「…………それまでは施設だったのよね?




 名字もちゃんとあったのね、」






 「施設に預けられた時点でフルネームが決まってたそうです。メモがあって」





 口を動かしながら、不意に思った。






 本当の私の親は、どんな思いでこの名をつけたのだろうか。






 薫という名前。





 好きでも嫌いでも無いけど。








 ……ただ、それを呼ばれるのが、人間にとって最小で最大の承認欲求だと知れたのだけど。





 直ぐにその手を放して、将来どんな人間になるかを見守っていくことさえ棄てた子に。











 何か大層な意味を込めて、その人は名を付けてくれたんだろうか。







 思い耽る瞳に、灰色の重苦しい建物が映った。













.

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設定タグ:金田一少年の事件簿,高遠遙一 , HoneyWorks , camellia   
作品ジャンル:恋愛
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camellia(プロフ) - Ninja250さん» 急展開すぎてコケないようします笑 続きが読めないしか売りがないようなものなので() 二回目のコメありがとうございます!頑張ります! (2019年4月20日 21時) (レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)
Ninja250 - !?!?!?!?びっくり!!急展開!続きが気になる!! (2019年4月20日 21時) (レス) id: 1223e64b98 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - Ninja250さん» わおー!!ありがとうございますとても嬉しいです!過去編ちょっと風呂敷広げすぎましたけど笑 ご期待にそえるよう頑張らせていただきます!これからもよろしくお願いします! (2019年3月31日 18時) (レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)
Ninja250 - うおー!今日見つけて今日読んじゃいました!すっごく続きが気になりますねえ!物語の展開が読めない!次の更新が楽しみです! (2019年3月31日 17時) (レス) id: 1223e64b98 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - 白ぴくみんさん» コメントありがとうございます!そうですよね……高遠さんの小説少ないので半分自分の欲を満たすためにも書き始めたこともあります笑 コメントとても励みになります、これからも頑張らせていただきます! (2019年2月7日 6時) (レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:camellia | 作成日時:2018年12月28日 21時

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