雪39片 ページ40
─
いきなりそっと、前髪をかきあげられる。
遠山の整った顔が近づいてきたと思った瞬間。
額に柔らかいものが触れて、彼が顔を離した。
「……どういう意味、今の」
「さあ、何でしょう？」
言葉を返せず黙りこむ。
────『額にキス』の意味は主に二つ。
『祝福』と『友情』。
『祝福』ではないだろう。仮にそうだったとしたら殴る。
『友情』も合わないことはないが、しっくりこない。
だとしたら……。
『額にキス』のもう一つの、あまり一般的には知られていない意味。
「……『慰め』てる、つもりかよ？」
こんなことで。
「ええ、まあ。
……軽々しく傍にいるなんて言えませんが、涙を拭くくらいなら、できますから。」
仏頂面でそう言ったあいつは、話は終わりというように背を向ける。
その黒いコートの背が、じわりと歪んだ。
頬から滑り落ちる雫を受けとめるように、私は彼にしがみつく。
「……なに、カッコつけてやがんだよ。遠山のくせに」
背中に顔を埋めたまま、言葉を発する。
「そのカッコつけてる男にしがみついてるのは何処の誰ですか」
「……るっせえ……」
そこから先は、言葉にならなかった。
「……ッ、伊月……ッ……！！
いつきぃ…………！」
蛇口の栓をひねったみたいに、後から後から止まる気配を見せない涙があふれでてきた。
涙を拭いてくれる、支えてくれる人がいる。
それだけの事で、こんなにもストッパーが外れやすくなる。
何時の間にか、遠山が私の方を向いて優しく背中をさすってくれていた。
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camellia(プロフ) - すぃさん» 読んでくださりありがとうございます！ はーい行ってらっしゃいませ！！ (2019年10月20日 8時) (
レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)
すぃ - camelliaさん» 続編行って来ます！ (2019年10月20日 8時) (レス) id: 045c20b509 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - まるさん» 申し訳ありません、修正の際に誤って立ててしまっていました。ご指摘ありがとうございました。 (2019年1月2日 21時) (レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい、違反行為です。外し忘れ、とかいう軽い意識はおやめ下さい。作品を消されても仕方のない行為です。オリジナルの新着に二次創作が上がってくる事を不快に感じる人もいます (2019年1月2日 21時) (レス) id: cec6dd7646 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：camellia | 作成日時：2018年7月11日 20時
