雪12片 ページ13
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実は、と明かされた彼の職業……正確には趣味に近い副業らしいのだが。
予想が当たっていたことに図らずもビビる。
「なあ、今なんかできたりするか?」
「そうですね……」
私が言うと、遠山は部屋を見渡す。
聞く前に気になったが、簡単なものならできるくらいのタネは仕込んであるらしい。
本当に趣味かと疑う意識の高さだ。
今部屋を見渡しているのは、私の興味を惹くための種を探しているのだろう。
ココアを啜っていると、遠山が妖しく笑う。
急に光を帯びた瞳に慄いていると、スッと腕がのびてきて、眼前で右手をにぎった。
「One……Two……Three‼」
ポンッと音を立てて現れたのは。
…………深紅の、薔薇、だった。
乾ききっていない染みに布を押し当てたようにじわりと記憶がせりあげる。
ダメだ、と思ったときには遅かった。
「……ッ」
ジーンズに雫が弾け飛ぶ。
持ち手をきつく握りしめ、顔を伏せる。
何で。今になって、思い出させるんだろう。
この男は。
『薫ちゃん』
あの
一頻り涙を流した後で、呼吸を整える。
「……ごめん、びっくりさせて。
……ちょっと、吐き出させてくれないか。
今迄、誰にも話したこと、なかったんだ。」
言えないままじゃ、壊れそうだ。
目尻に涙を溜めたまま、語りだした。
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camellia(プロフ) - すぃさん» 読んでくださりありがとうございます! はーい行ってらっしゃいませ!! (2019年10月20日 8時) (レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)
すぃ - camelliaさん» 続編行って来ます! (2019年10月20日 8時) (レス) id: 045c20b509 (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - まるさん» 申し訳ありません、修正の際に誤って立ててしまっていました。ご指摘ありがとうございました。 (2019年1月2日 21時) (レス) id: 3318b01060 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい、違反行為です。外し忘れ、とかいう軽い意識はおやめ下さい。作品を消されても仕方のない行為です。オリジナルの新着に二次創作が上がってくる事を不快に感じる人もいます (2019年1月2日 21時) (レス) id: cec6dd7646 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:camellia | 作成日時:2018年7月11日 20時