彼と英雄～日常～ (ページ12)

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彼は人間の奥底を知り深く絶望し壊れ罪を犯しそうになる【鰓】ページ12

「……………………」

廊下に立つ

(何、彼奴調子のってない？)

(目腐ってるくせに、偉そうにさ～)

聞こえてる

聞こえてるんだよ

(中学の時、告白してふられたからって周りにきつく当たってるらしいぜー)

(うわ、最低だなおい。)

黙れ

何も知らないくせに

(そういえば、彼奴親にも冷たく当たられてるって)

(マジかよ！可哀想に、救いようがねぇな)

五月蝿い

同情ばかりで

同情ばかりで

黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ！

(嗚呼、彼奴は)

皆が口々に

((((悲しい奴なんだな))))

その時、心の中で何かが壊れる音がした

何か大切な物が壊れていく音が

「……………嗚呼、そうかい。」

お前らはなにもしなかったくせに

のうのうと生きてる温い塵ばかりで

塵の分際で俺を否定するのか？

俺を嘲笑うのか？

俺に同情にするのか？

憤怒で言葉がでない

「いたいた、おい！鰓！教室に帰らないと……先生が………お前どうした？その顔？」

辛うじて言葉に出来たのは

「……………………悠人か。」

俺の顔は何もうつしてなかった

が、その瞳は普段より、濁り腐り、何処かやつれた風に見えるのだろうか？

「……大丈夫か？」

と息を飲む声が聞こえる

それだけ酷いのだろうか

「……辛うじてな。」

と、言葉を出す

「さぁ、戻ろうか。教室に」

と笑顔を作り言った。

悠斗はその笑顔を見ていられなかった

殺気もそうだったが

何よりも傷つき全身ズタズタになった彼が泣いてるように見えたからだ