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此処が米花町だと気づくのに
そう時間はかからなかった。
目を覚ましたら病院で
何故こんなところにいるのか分からなかったが
看護師さんのネームカードを見てすぐに理解した。
東都 米花総合病院
と記されていたからだ。
まさかそんなわけないと思い
自分の頬を叩いたり
壁に頭を打ち付けてみたりしたけれど…
「現実だ」
いざトリップというものをしてしまうと
意外と冷静に物事を考えられる。
よく小説で見る「神」と呼ばれるものは
どうやらいないみたいだし…
まず私が考えたのは
住むところだ。
住む場所がないとどうにもならない
お金だってあるか分からないのに…
視線を窓の方へ向けると
私の愛用していたバッグが綺麗に置かれていた。
体を起こし、腕をぐんと伸ばしバッグを取る。
ベッドの上でバッグを逆さにひっくり返すと
現実世界で使ったいた物は何一つ無くなっていなかった。
「そのままだ…」
と、いうことは。
財布を開けると
万札がいくらかはいっていた。
よかった。
医療費は払える。
ホッと一息していると
病室の扉が開く音がした。
「目を覚ましましたか…大丈夫ですか?」
「あ、はい……って!」
褐色肌の、金髪。
高い背丈に
イケメンなボイス。
これは
これは
これは…
「僕の顔に何か付いてますか?」
これは、チャンスだ。
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2017年12月7日 22時