41＿＿S ページ41
とくに話すことはなく一月が過ぎた頃だったっけ。
「あ、しまった…」
隣の席の友達と腹減った〜、とかどうでもいい会話をしていれば、ボソッと聞こえて少し振り返ると、引き出しを覗き込んでAが溜息をついてる。
もしかして教科書忘れた？
サッと取り出して、英語の教科書をAの机に置いて、また友達との会話に戻ったら、背を向けた俺に「え、あの……」と戸惑う声がして、今度はちゃんと振り返ってAの視界に入り込んでやる。
「俺、コイツの見るからどうぞ〜」
「で、でも……」
「いいっていいって！ どうせ適当にしか見ねぇから俺(笑)」
見てもわかんねえもん！て、威張れる事じゃねえけど、小さく微笑んでくれたのを見たら貸せて良かったって思った。
その後Aがお礼にってクッキーを焼いてきてくれた。
眠かったけど一気に覚めたよ。
初めて女の子から貰った手作りクッキー。
うわ、やばっ。嬉しい。
「すっげぇ。ただ教科書貸しただけなのに、クッキーついてきた。食っていい？」
「へ、今！？」
「うん、飯抜いてきたから腹減ってんの」
バナナ食べてきたけどね。
でも食う！食いたいから食う！
ラッピングだって可愛くて解くのが勿体ない。こういうのも女の子ってめっちゃ拘ってくれんじゃん。
”お礼”だとしても、クッキーを焼いてくれた時間も、このラッピングをしてくれた時間も少なくとも俺の事を考えてくれていたわけだから、クッキーを頬張る口元も緩む。もうゆるゆるよ。
「美味しぃ！ 嬉しいぃ！ ありがとう！」
「……………」
「赤塚が隣に居て、俺めっちゃ得したわ。ほんとあんがとね」
ただ教科書を貸しただけだったのに、こうして美味しいお礼をくれたら感謝するのは当たり前じゃん。
自然と思ってることを伝えただけ。
美味い！嬉しい！ありがとう！て。
そしたらAの表情が次第に緩んで、最終的に今まで見たことないとびっきりの笑顔を見せてくれた。
「ありがとう、佐久間くん」
思わずポロッとクッキーを落としそうになって慌てた。
火照る顔を誤魔化すために「良い天気だよなぁ」なんて、分かりやすくそっぽ向いて。
背後でクスクス笑うAに、ドキドキが止まらなかった。
自覚した。”好き”て二文字を。
どんどん”好き”の二文字が俺の中で広がっていって、Aを見ると胸がドキドキして、彼女の笑顔を見て俺もずっと笑っていた＿＿＿＿＿
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ゆきんこ(プロフ) - クリボーさん» 初めてのコメントありがとうございます！嬉しいです！とことん切ないお話が読みたいって思いで作ってるので切なくなってもらえてよし！という気持ちがあります(すみません)これから暫く💗さんsideなのですが、そちらも楽しんでもらえるように頑張ります！ (2022年1月26日 13時) (
レス) id: 98af39605d (このIDを非表示/違反報告)
クリボー - 主人公ちゃんの切ない気持ちに思わず涙が出てしまいそうになりこれはコメントせずにはいられない！と思い初めてコメントさせてもらいました😆毎日更新を心待ちにしながら読み返しております☺️大変だとは思いますがこれからも頑張って下さい！！ (2022年1月25日 22時) (レス) id: bc588715c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ななぽんさん» コメントありがとうございます！ うわっ！叫ばせてしまいました（笑）(内心はガッツポーズしております) ありがとうございます！頑張ります😆 (2022年1月25日 21時) (レス) id: 98af39605d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - かりんさん» コメントありがとうございます😊 ☆いっぱい押してほしいです☺️一度しかないって悲しい！でもそのお気持ちだけでも受け取っておきますね！ (2022年1月25日 21時) (レス) id: 98af39605d (このIDを非表示/違反報告)
ななぽん(プロフ) - わたなべええええええええ！！！！な展開最高です。面白すぎて毎日心待ちにしています！ (2022年1月25日 20時) (レス) @page42 id: 9658e76aab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2021年12月8日 23時
