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今度は佐久間が私を置いて先に行くことはなかったし、怖い場所に出たら「目ぇ瞑ってて」と誘導してくれたりもした。
だから後半は怖い感情よりも、佐久間の行動にドキドキしっぱなしだった。
暗がりで誘導される時、腰に手を当てて「危ないこっち」って引き寄せられた。
驚いて顔を上げたら、すぐそばに佐久間の綺麗な顔があって凝視していれば「なんだよ」って笑われて。
こんなの狡い。
ますます好きが加速していく。
止まらない、止められない。
「ごめんね」
「なにが？」
嬉しはずなのに、こうして喜んでるのは私だけ。そう思うと少しずつ申し訳なさが出てきた。
こんなこと言わなくていいのに言ってしまったのは、もうすぐ出口だからかな。
私が立ち止まったせいで、手を繋いだ二人の間に距離が出来た。
「えっと、その、サクラさんだったら一緒に騒げたよねって」
「……それは、」
目を泳がせる佐久間。
お前と一緒で楽しいよ。きっと私はそう言ってほしいんだろう。
でも佐久間は、出口の方を見て「そんなことねぇよ」とだけ言った。
肯定も否定もない。当たり障りのない返答に、なんて馬鹿な質問したんだって。
「ほらもう出口だから、」
「……うん」
ぎゅっと握り返したくれただけで良い。
「これで学祭の心残りは一応なくなったわ」
「ふふ、何年越しって話だけどね」
出口のドアを開いて、外の明かりに目を細めた。
スルッと離されていく手、ギリギリまで指が追いかけたけど………
「あ！ 佐久間さん！Aさん！おかえりなさぁい！」
もう一度掴めることはなくて、
「サクラちゃん！！ ごめん待った？」
「いいえ！ 渡辺さんとお話してました！」
軽やかな足取りで彼女の元へ駆けて行く背中を見る。
あ、どうしよ……
幸せだったのに、あれで十分って思ったのに。
「翔太ぁ、俺のサクラちゃんにちょっかいかけてない？」
「かけるわけ、」
”俺の”とか言わないでよ、ばか。
さっきまでの幸せだった気持ちは、手が冷えると一緒に完全に冷やされていって、目の前がゆらゆらと揺れだしたから、
あ、ダメだよって。
こんなところで泣いたら絶対ダメだ。
「え、翔太？」
佐久間の驚いた声だけがして、どうしたんだろう？と思って間もなく、私は渡辺くん腕の中に居た。
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ゆきんこ(プロフ) - クリボーさん» 初めてのコメントありがとうございます！嬉しいです！とことん切ないお話が読みたいって思いで作ってるので切なくなってもらえてよし！という気持ちがあります(すみません)これから暫く💗さんsideなのですが、そちらも楽しんでもらえるように頑張ります！ (2022年1月26日 13時) (
レス) id: 98af39605d (このIDを非表示/違反報告)
クリボー - 主人公ちゃんの切ない気持ちに思わず涙が出てしまいそうになりこれはコメントせずにはいられない！と思い初めてコメントさせてもらいました😆毎日更新を心待ちにしながら読み返しております☺️大変だとは思いますがこれからも頑張って下さい！！ (2022年1月25日 22時) (レス) id: bc588715c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ななぽんさん» コメントありがとうございます！ うわっ！叫ばせてしまいました（笑）(内心はガッツポーズしております) ありがとうございます！頑張ります😆 (2022年1月25日 21時) (レス) id: 98af39605d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - かりんさん» コメントありがとうございます😊 ☆いっぱい押してほしいです☺️一度しかないって悲しい！でもそのお気持ちだけでも受け取っておきますね！ (2022年1月25日 21時) (レス) id: 98af39605d (このIDを非表示/違反報告)
ななぽん(プロフ) - わたなべええええええええ！！！！な展開最高です。面白すぎて毎日心待ちにしています！ (2022年1月25日 20時) (レス) @page42 id: 9658e76aab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2021年12月8日 23時
