CHERI E

CHERI E 35 ページ35

・









大きな見出しに載った
妹のような存在のあの子の名前

朝刊で届いた新聞

顔を伏せたような写真
どれもどの記事も
どの文字もどの写真も

私の心を抉る材料となる


まるで
シャベルで掘られる土のように
例えば
ディッシャーで掬われるアイスのように


私の心は抉られている。

苦しくて苦しくて堪らなくキツい








PD「A、すまない」





頭を下げられて謝られる私
傍から見たら可哀想な人に見える

だってどんな形であれ
デビューが決まっていて

その決まったグループに
合流という形で入る予定だった


でもまぁ、それは予定に過ぎなかった。
決まっていた予定。

予定は変わるものだから
割り切らないと







PD「A」

「はい」

PD「お前のデビューは変わらない」







大丈夫、1人は慣れてる
いつも1人だった事が多かった

そこには祖母も祖父もいた
お母さんやお父さんだっていた。


だけど
兄弟のいるヒナや
ロシアにいるリノーチカだって

偶々友達になった子には
兄弟がいたから









PD「ジニやチヨン、ミソやトリニティ
それに、ダヒも

Aにはデビューを約束してと
そうお願いされた

勿論、俺だってAをデビューさせる」








大好きな人達が
頭を下げて、お願いした

だけど
そこに貴方達がいないと

私は凄く心苦しいの


居なくならないでと願ったあの日
離れていかないでと約束した日

約束したじゃん
また






PD「連絡を取るな何て酷な事はしない
だってこれまでずっと一緒にいた友達であり
ライバルでもあり

そして、家族、姉妹の様なお前達の関係を
俺が壊せるわけない」







韓国で初めて入れたカカオトーク
今までたくさん写真を撮って
アルバムに残った皆の写真

凄く凄く会いたい

凄く凄く抱きしめたい


グループトークには
沢山の通知が来ていて

これを読んだら私はどうなるんだろうかなんて
そんなの分かり切ってはいるけれど

心が凄く辛くて



来ていた通知に数字が残っているまま
私は開く事も読むことも無く

開いたカトクを閉じた








漠然とする1人の空間にも慣れた
殺風景なこの部屋で

床に寝っ転がって私は泣いた

沢山沢山
あの頃よりも沢山泣いた

CHERI E 36→←CHERI E 34

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す