四次元。5 ページ5
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《 鷹ファン 》
「サインくださーい」
周東「お帰り下さーい」
「くっそー、転売目的バレてたか」
周東「人のサインを収益化するな」
「大丈夫、うきょさんのサインは
ちゃんと額縁に入れて家に飾るから」
周東「えー?本当にぃー?笑」
近くでこんなにも仲のいい会話を聞いてもよろしいものなのか
サイン会が開かれて、まさか自分のすぐ近くにシレッと寿々花君が並んでくるとは思わず、呼吸する事が出来なかったけど、今目の前で繰り広げられてる会話を聞いて、更に息が詰まった。
そして何処で手に入れたのか分からないりんご飴片手に持ってる寿々花くん。本当、何処で手に入れたの笑
周東「てかそのりんご飴なに笑」
「え?りんご飴」
周東「いやそれは分かってんの。何処で貰ったの?」
「直ぐそこの屋台」
周東「ちゃんとお金出した?」
「出したよ笑出してなかったらただの窃盗じゃん笑」
周東「俺にもちょーだい」
「ん、めっちゃ美味しいよ」
周東「本当だ、うま。俺にも買ってきて」
「うきょさんの分迄俺がちゃんと食べとくね」
周東「俺にもちょーだい!すず!A!」
それにしても美味しそうに食べるなぁ…。私迄食べたくなってきちゃった。でもサイン書いて欲しいし、貰ってまだあったら買おうかな。
因みに何味なんだろう。今のりんご飴も色んなのあるよね。寿々花くんが食べてるのは普通のやつだと思うけど、まるで顔が隠れてしまう位には、大きなりんご飴。そこにチラホラ見える可愛い歯型は、まるで某リンゴの様だ。
あ、口の端に着いてる…笑
.「可愛い…笑」
周東「Aが?笑」
.「う、えっっ…ぁ、えと…口の端に着いてて…はい笑」
周東「ほんとだ笑」
「無心で貪んじゃん笑」と言う周東選手の顔は、まるで我が子を見るかのような、可愛い弟の面倒を見るお兄ちゃんの様な、そんな顔をしてる。
バリバリと音を立ててりんご飴を食べて、サイン会に並ぶファンに手を振ったりしてて、本当、そう言う所を見ると可愛い。だけど、いざバッターボックスに立っては、球種を見極めスウィングしたバットに当たるボールを、高く高く打ち上げホームランを決める姿はまさにかっこいい。
そして、ピンチをチャンスに、流れを変える瞬間にはいつも寿々花くんがいる。その時の顔は鷹が飼い慣らす獅子の様だ。
.「今だけだな、可愛いの…」
周東「何で?」
.「周東選手が育て上げた顔があるので、笑」
周東「え、どんな顔???」
(そのりんご飴何処にありますか?)
(今行けば無料ですよ)
(え!?)
(俺が買取ったんで笑)
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作者名:RIKU | 作成日時:2023年11月11日 11時