四次元。36 ページ36
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《 汗も滴るなんとやら 》
屋外での練習
よく晴れた青い空に響くは、バットとボールが当たる爽快な音。そして、それを打ってるのは寿々花A。
いやー、いい汗かいて…。真剣な顔もまたいい顔をしてる。時々顰めるけど、それさえもまたいい。それでいて飛んでいく球も何処までも飛んで行く。それを守備練の練習台にする野手達。
お、誰かが跳ねた…けど届かなかったみたい笑
AはAで真剣に打撃練習してるけど、時々何考えてるんだろうって思う。終わった後に聞いたら夜ご飯だったり、家の掃除の事だったりと、考えてる事はすっごいバラバラ。
読めない子だなぁって、つくづく思う
何だか、こうした真剣な顔見てると朝の出来事が嘘みたいに思えてくる。
パーマにしてた時より爆発的な寝癖はないにしろ、多少の寝癖はあるもので。前髪が作り始めた鳥の巣みたいになってて、朝からそれで板東と爆笑。あおさの味噌汁を食べながら、終始自分の寝癖にツボったのか笑ってた。
朝からね、こうした仲の良さげを見てからのこれだからさ、ね
西田「ほーんと、不思議な子だよ」
あ、終わった
キャーなんて声も貰っちゃってー、モテる男は凄いなぁ。だけどそんな声なんて聞こえてすらないように、自分に集中する様に再びボールとバットに向き合う精神も凄い。
この若さで、跳ね上がった年俸で再び契約をした。それだけ見合った成績を収めてるからってのも分かるけど、Aって一体何にお金に使ってるんだろう。
「西田さーん」
西田「んー?」
「そんな所で何してるんすかー?」
西田「いやいや、仕事してんのよ笑」
「えー?」
西田「聞こえてるでしょーが笑」
「ね、あそこ見て」
西田「え?」
「で、手振って」
「「 きゃぁー!! 」」
西田「え、何?知り合いでもいんの?」
「いや?いない」
西田「…え?」
「んふふっ笑」
西田「いや、なんなん?笑」
本人は機嫌を良くして次の守備練に行ったけど、本当に分からない子だわ…笑しかもスキップまでして、ウッキウキじゃん笑
まぁ、バッター寿々花もかっこいいけど、守備の寿々花もまたかっこいいんだよなぁ。オールマイティではあるけど、どちらかと言えば野手向きで。センターから真っ直ぐ伸びてバウンドする事なくキャッチャーの手に収まるの、見てて気持ちがいい。
それからそれを見て実況者と解説者が笑ってるのも
西田「そう言えば今年も工藤監督に会ったのかなぁ」
(いいバッティングだったよ)
(伸びがまだまだっすよ)
(ふふっ、ストイック)
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作者名:RIKU | 作成日時:2023年11月11日 11時