猫。40 ページ40
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《 嫌いな物 》
我らがAさんには、嫌いなものがある。
スイカやメロンの他にもバナナが嫌い。飲み物ではタピオカ、ティーラテ、フルーツ系をミルクで割ったのや、炭酸飲料と言った、嫌いなものが割と多い。牡蠣…は、確かアレルギーって言ってたっけ。
食べる事が苦手なのに、更に嫌いな食べ物が多いと来たら、厄介と言うより最早面倒な人だと思う。
「！な、なにこれ、」
石川「コーヒー牛乳です」
「…何か入ってる」
石川「コーヒーゼリーです」
「へぇ、」
そもそもAさんは牛乳単体が嫌い。
何だろう…Aさんってここ迄どうやって育ったのか気になる。そりゃあ、食べなくても成長は出来ると思うけど、これだけ嫌いなものが多いと、栄養の偏りが生まれる。その分の補い方って、余程考えられてるんだなぁと思うと、Aさんを支える管理栄養士さんは凄い。
「何それ」
石川「これはバナナジュースです」
「ふーん」
石川「因みにリッチ何ですよ。
SサイズのでAさんのと同じ値段なんです」
「それ何サイズなの？」
石川「これはMサイズです。700円」
「おー、リッチ」
石川「でしょ」
「うん」
石川「飲みます？」
「いや、いい」
早いな。余っ程嫌いなんだな、バナナ。
俺があげたコーヒーゼリー入のコーヒー牛乳を飲みながら、ご飯を食べてるAさん。室内だから涼しいけど、練習の時でも試合の時でも汗をかかないAさんって、時々心配になる。
本人はスポーツ選手に不向きと言ってた事はあったけど、正直関係ないと思う。
石川「Aさんってさ、
汗ってどの位の程度ならかかないんですか？」
「どの位…、でも後天性の割に全くって訳じゃない」
石川「後天性何ですか？」
「うん。高校に上がった頃から汗腺がイカれて
医者からもプロ野球は難しいって言われた事ある」
石川「難しい話ですね」
「ね。俺難しい話嫌い」
石川「難しい話嫌いなのに、
よく大学行こうと思いましたね笑」
「いや、大卒の称号は欲しかった」
石川「それに大学生とプロ野球の２足の草鞋もして…笑」
「それは楽だった」
石川「え笑」
「だってこの人達を観察して、
見たまんまをレポートに書けばいいだけだから」
石川「充分難しいっすよ笑」
「亮の頭じゃ難しかったか」
石川「それめっちゃ失礼だけど、何とも言えない笑」
「ははっ笑」
(流石、早稲田を3年で卒業した人は違いますね)
(亮も入学したら？)
(今でも遅くはないっすかね？)
(しっかり留年しておいで)
(それは酷い)
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作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月24日 9時
