猫。39 ページ39
B11
Aが抱きついて来る時は大抵、俺の心臓の音を聞く。最初の内は急な出来事でもあったし、その時こそ過去の病気の事はあまり出回っていない時だったけど、その時から不思議と酷く安心感がある。
基礎体温が低いAの体を包み込めば、自分よりも少し体温が低いなって所は感じつつも、真正面から抱きつくAを抱きしめ返す。
AもAで色々あった人間だから
今はもうない吐きダコを見て安心する。トイレに駆け込んで奥のトイレで嗚咽を漏らす声を聞かなくってホッとする。
まぁ、それもこれも安達さんに聞いた話ではあるけど。
山崎福「Aー？」
「んー？」
山崎福「ふふ、どう？正常？」
「正常…成城石井」
山崎福「お、ちょっと高いやつだ」
「そうなの？」
山崎福「うん。知らない？」
「知らないし、買った事ないかも」
山崎福「それなら俺もあまりない」
「よくそれで高いって分かるね」
山崎福「高いのはよく聞いてたからね笑」
「へぇ」
興味無さ気だないつもの返事を聞きつつ、未だに離れる事ないAの頭を撫でながら思い老けるのは、Aと出会った頃かな。
人見知りがある人程話しかけ難い雰囲気があるけど、Aの場合話しかけ難いってよりも、周りと俺が話してるのを見て信用させるって言う事の方が多く、一軍昇格当初はそんな感じだったなぁ。
まぁ、暫くしてお互い話しかけつつで今ではこうも懐いてはくれたけど、本当に当時から言われてた通りに猫で。皆が近くに寄って可愛がりたくなるのも、今となっては納得せざるを得ない。
でも、あの時も気になってはいたものの、仲良くなったのも短いから、突っ込んでいい話じゃないと思ってそっとしておいた。
山崎福「A」
「んー？」
山崎福「本当にAの手って綺麗だよね」
「そう？」
山崎福「うん。豆は無いし指は細長いし、
それに手の甲もかっこいい」
「何急に、何か気持ち悪い笑」
山崎福「ひどー笑」
骨ばった手の甲に、浮き立つ血管が伸びた腕。周りと比べてしまえば華奢に見えても、こうして近くで見れば案外筋肉はついてる。ここ最近食べるのも頑張って増量してる分、筋肉量や脂質量もいい感じの比例差で、少しばかりふっくらしてる。
それでもまだまだではあるけど。
でも、肌は白い儘だから、ご飯を食べる時は頬が雪見大福の様で、試合前後のスタミナチャージ時は癒しだったりする。
山崎福「A」
「んー？」
山崎福「太ったね」
(さちさんもう嫌い)
(や、そう言う事じゃなくて！笑
少しマシになったね、ってA！笑)
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作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月24日 9時
