猫。16 ページ16
B37
あ、Aさんだ。早寝遅起きのAさんが、この時間に起きてるのは珍しい。元々所属してた球団が北海道だったから分かるけど、夜はやっぱり他の地方と比べると肌寒いのが北海道。
何か温かいの持ってこよう
でも何やってんだろう、こんな時間にあそこで。電話をしてる素振りはないし、何かしてる訳でもない。いつもの様に薄手の長袖に長ズボンで過ごしてる人だけど、外より室内にいたらいいのに…。
石川「Aさん」
「りょーだ」
石川「何やってるんですか？」
「んー？いや、特に何も。空見上げてただけ」
石川「こんな時間に外に出ても風邪引くだけですよ」
「北海道だからね」
石川「いやまぁそうですけど…笑」
そんな事話しても、一向に動く気配がない。少し肌寒いから、自分の分と一緒に借りてきたブランケットを掛ければ、やっぱり少し寒そうに鼻を啜る。やっぱり寒かったんじゃん笑
月光と室内の灯りが、何となくAさんの憂いあり気な雰囲気を漂わせて、肌の白さや無造作な髪によって何処と無く儚さも際立つ。分かってはいるけど、いつもAさんの近くには由伸がいて、大体のする事なす事に由伸もいる。よく2人で笑いあってたり、戯れてたり。2人の空間が他とは違う様な特別感を感じる。
今だけ、今だけでいいからっと、欲が自分の中で支配する
石川「Aさん」
「ん？」
石川「…今だけでいいんで、俺を見てくれませんか」
「見てるよ、亮のこと」
石川「そうじゃなくて…。いつも由伸が近くにいて、
Aさんはいつも由伸ばかりだから、その…なんか、」
「？うん」
石川「少し、それが…羨ましいって言うか…、
ジェラシー…て言うか、」
自分で言ってて恥ずかしいな、これ。言ってる事は本心でも、やっぱ男同士って言うのがなんか、うん。Aさんは男だし、俺も男。別にAさんが誰と仲良かろうが全然いいのに…。
いいんだよ、別に。俺よりもずっと由伸の方がAさんの事知ってるし、何ならオリの人達なら皆Aさんの事知ってる。今年入ったばっかの俺が、そんな深くAさんの事を熟知してる訳じゃない。
だけど、それでもやっぱその差って言うのは埋まる訳じゃない。そんな事も全然分かってんのに…。
「亮」
石川「はい」
「…寒いから、来て」
#寒いなら中入ればいいのに…
(なんて言わないけど…)
(亮耳赤い)
(…Aさんの所為)
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 527人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月24日 9時
