鷹 33 ページ33
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北海道での試合も今日で最後。変わらず仕事で使ったものを片付け終えた後には、撮り溜めたカメラの中に残る写真をチェックする。
こう言うのを見返した時、選手の変わり様がいつ見ても好きだったりする。
アップの時は、リラックスする為もあると思うけど、おちゃらけてたりしてる。カメラを此方がアップして無くても、カメラに近付いて来たりして。そんな彼らでも、真剣な顔してアップしてる人もいて。
本当…この仕事していて良かった。
試合が始まった時の顔つきは、いつ見ても鳥肌が立つ。
「好きだなぁ…」
周東「何が」
「っ！…ビックリした、」
周東「A？…なんで泣いてんの？」
こう言うのって自分で気づかないものなんだなぁ。
そんな事を思っていれば、拭われるその手は周東さんの指で。何が原因で涙が出ているのか分からないのに、何も言わずに指の腹で拭き取られるその手は優しくて。それから、試合終わりでもある体温が、室内のクーラーで冷めた肌に伝わる。
「…佑京さん、」
周東「ふっ笑珍しい。なーにAさん」
「私は、どんな佑京さんでも好きです。
皆の空気を和ませたりする所もあれば、
奮起を立たせる姿も、かっこいいですし尊敬できます。
凄いなって、かっこいいなって。
そんな所をもっともっと撮りたいなって」
周東「うん笑」
「好きです、佑京さん」
こんな、面と向かって話すと、やっぱり何処か照れるし恥ずかしい。けど、どうしても伝えたくなる時って言うのはあるもので。目線の高さが同じだと、見上げる時よりもまた違った距離感だったからこそ、もしかしたら言えたのかもしれない。
でもやっぱり、耳に熱が溜まってる感じはある。
周東「A」
「はい」
周東「キスしたい」
「へ、あ、の…っ」
1度目も2度目も、息の仕方が分からない位ドキドキする。
こんな、いつ人が通ってもおかしくない場所なのに。そこも含めての動悸なんだろうけど…。
周東「癒してもらおうって思ってたのに、
何かもう、色々と吹き飛んだんだけど、笑」
「私にそんな力はありませんよ」
周東「えー？あるよ、十分に」
「珍しく怒りを露わにしてましたね」
周東「思うように行かなかったからね…かっこ悪い」
「…ふふ笑かっこ悪い、ですかね。
かっこ悪いものが、時にかっこよく見えるんですから
それもまたいい事なんじゃないですか？」
周東「Aにはそう見えた？笑」
「そうですね…ファンの方々にもそう見えたかと」
周東「Aは？どうなのさ笑」
(まぁ、はい)
(こらそこ目を逸らすな笑)
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作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月23日 21時
