鷹の美人さん [3] (ページ32)

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鷹 32 ページ32

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《藤井皓哉は見た》

俺は、見てしまった。我らが鷹の広報である宵宮を抱きしめる周東佑京を。

何て言うか、本当にギューってしてんの。分かる？恋愛作品によくある、こう…何て言うか…ギューって。身長差なんて殆ど僅差みたいな感じの2人だからあれだけど、よいの方が細いから骨が折れそうな位にも見える。

確かにここは人通りなんて殆ど皆無に等しいけど、その殆ど皆無でこの状況を見てしまうとか、気まずい…。て言うかあの二人付き合ってんだ。抱きしめてるって事は付き合ってんだよね？男女がハグしてんのはつまりはそう言う事だよな。うん、取り敢えず異論は聞かん。

しかもなんか、こー…包み込むみたいに抱きしめてる。

漫画の効果音とかだったら ギューっ てのが誰しもつけると思う。それよりよいは抱きしめてんのかな？って、いや、あの手は、うわ…腰！！何、あのもどかしい位置。もう少しこー、肩甲骨辺りを キュッ って感じで持たんの？

いやでも、これはこれであざとい。小さくキュって持ってんの。何かいつもキリッとしてる奴が、こんな時ばかりさり気なく甘えみたいなもんを出されるって、男にとっては堪らんよな。

って、あ、佑京が顔を上げた。何か話してる。何か話してるんだろうけど、え、これって、アレ？マジ？え、え、え、どどどどうしよう。こう言うのってもっと気まずくなるよな。何でチームメイトのキスシーン見なきゃなんねーんだよ！！え、や、うわぁー。

後で揶揄ってやろうかな…。

いやでも、揶揄ったら揶揄ったでもしかして周りに付き合ってる事なんて言ってないかもしれないし、それで俺の口から揶揄っただけで言うのって、あんまり良くないよな？

あー、頭ポンポンしたっ！うわぁ…何なん。顔が良い奴って何をしてもいいのか？よいも少しは抵抗しろよ…いや、もし付き合ってんなら、抵抗はしなくていいのか…？

上林「何してんの、そんな所で」

藤井「や、いや…？」

上林「？？」

藤井「なぁ、誠知」

上林「ん？」

藤井「も、もし、さ？同僚のキスシーン見たら…どう思う？」

上林「何、見たん？」

藤井「いやいやいや！もしもだって！は、笑」

上林「…別にどうもせんけど、」

藤井「だ、だよな…」

誠知はそうかもしれないけど、俺は少し気まずい。幾ら成人していようと、四捨五入で三十路に入ろうと俺は気まずい。心はまだまだガキだと思われてもいいが、人によっては気まずいものだと俺は思う。

本当、人によるけど

(香水付けてる？めっちゃいい匂い)
(香料のある物は使ってないんですけど、)
(嘘、めっちゃいい匂い)

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