鷹 28 ページ28
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《 鷹の広報 》
ある日、手紙が届いた。それは、選手への手紙の中に混じってあった。その封筒には、宵宮様へと綺麗で達筆な文字が平行に並んであって、封筒だけでもつい見蕩れてしまう程だった。
後輩 宵宮Aは中性的な顔立ちの中で、男性よりではあるものの端正で、球団としても選手の次に名広報となっている。
そんな宵宮に、手紙を渡した。
西田｢ファンの子からだと思うけど、手紙届いてた｣
「え…、え？
ドッキリですか？」
西田｢何故それを疑う。それに企画するなら選手にするわ｣
「時に球団職員側へのドッキリも企画してるんじゃ…」
西田｢してねーよ｣
朝、事務所も併設されている球場に来た宵宮は、手紙について驚き、ドッキリを疑った。そんな人の心を弄ぶ様なドッキリは、うちでは考えていないから安心して欲しい。
因みに宵宮の私服はオシャレで、社員でも好評だ。モノトーンのコーデもあれば、オシャレなアパレル定員の様な着こなし方もあったりと、自分のスタイルを熟知している服のセンスを見ては、自分の私服のセンスのなさに廃れるものを感じる。
スーツの時だって、パンツスーツだからその分足は長いし、何処かの今田美桜や何処かの橋本環奈と並んでも、某スーツ専門会社のCMに出れる勢いだ。
まだ男じゃないだけマシとは思いたいが、圧倒的なこの感じにもう少しそれを抑えてくれと土下座してでもお願いしたい。
「う、わ…わぁ、」
西田｢な、なんだよ…｣
「ファンの方にお手紙を貰うってこんなにも嬉しいんですね」
西田｢…貰った事ないの？｣
「そうですね、告白の手紙なら数枚程頂きましたが」
西田｢それ完全にラブレターじゃん！！｣
「でも、何か…泣けますね」
西田｢え？…あ、おい、泣くなっ！｣
何なんだ。こんな時には女の子って感じがして不覚にもドキッと来たけど、宵宮に恋人ができたと風の噂で聞いた。誰とは聞いた事はないが、女性社員の殆どが宵宮の恋人を探っている。
未だに誰かを掴めた者は居ないらしい。その徹底ぶりは凄い。
「わー…私だ」
西田｢うーわ、すげぇ綺麗に撮れてる｣
「私の顔こんな感じに見えてるんですね…」
西田｢何、鏡見た事ないの？｣
「いえ、そう言う訳ではなく…、
私は私自身を撮る事はないので、人から特にファンの方からは
少なくともこんな表情なんだと思うと、」
｢カメラがもっと好きになります｣と、続けて言う宵宮のその顔は、同封していた写真の様な笑顔だった。
確かに、これは写真を撮りたくなるな…。
#少女の笑み
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作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月23日 21時
