鷹 24 ページ24
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午後13時からの試合も終わって、自分の荷物を抱えて帰宅に着く。着こうと思ってた。けど、ふと足が止まったのは室内練習室で少し物音を聞いてしまって、本能的に止まってしまった。
大きくて分厚い扉程重たいものはないけど、ちゃんと自分の力で開ける事が出来るのはまた不思議な所だと思う。
静かに開いた扉の先では、先程の試合で先発登板をした板東さんが、1人で只管にボールを投げてた。
こう言う時って、自分の学生時代の頃を思い出すきっかけになるから人間の不思議で。バスケをしていた頃も勝った負けた問わず、学校でも家でもドリブルだったりの基礎的部分を練習してたっけ。
中々思い通りにいかない時程、練習に明け暮れてると気が紛れたりもするけど、同じバスケ経験者の兄からもバレーボール経験者からの姉からも、無理矢理にでも止められた事は何度かあって、逆も然りだった。
だからと言ってはなんだけど、そんな練習に明け暮れる板東さんを、自前のカメラで数枚撮る。
皆に男前と称される選手だからか、矢張り写真写りも良ければ映えもいい。
「あ、」
板東「バレバレだからね笑」
「いえ、お気になさらずに。
練習を続けてください」
板東「どうせ撮る気でしょ」
「ふふ笑そう身構えないで下さい」
板東「本当、忍者の様に現れるから怖いんだよねー」
ただ皆さんが気にしておらず、唯々私の影が薄いってだけの話な気がするのは口に出さないでおこう。
そもそも写真を撮る側だって気を遣って、選手の方々の気が削がれない様にと影をこれでもかと薄くした結果が、忍者と迄言われてしまった。これは、私の所為だとか選手の方々の所為とかではなく、ただその空気の所為だと私は断言したい。
板東「よいちゃん」
「はい」
板東「元バスケ部のよいちゃんならさ、
こう言う場合って何してたとかある？」
「私は只管基礎を練習していましたかね。
でも結局は兄や姉に止められ続けられて辞めましたけど」
板東「仲良いね笑じゃあ、止められて何してたの？」
「何してた…、気が紛れる事なら沢山しました。
自分の気持ちをノートに書いたり、
その日の良かった所を3つ書いて寝たり。
後は、お母さんと料理をしたり父と歌ったり
おばあちゃんやおじいちゃんと話したりとか」
板東「色々してるんだね」
「まぁ、私にとって気が紛れればそれでいいので」
板東「確かに」
おばあちゃんやおじいちゃんと話すのは、結構気が紛れた気がする。上手くいかない時こそ電話してるのを察されて、有難いお言葉を貰ってバスケしてたな。懐かしい。
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作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月23日 21時
