鷹 17 ページ17
Sh23
カシャっとカメラ特有の音が聞こえれば、Aが楽しそうに笑いながらまた再びシャッターを切った。
連れ出しておいてアレだけど、唯々試合終わりに俺もバスケの試合を観たから、それを口実にして呼び出しただけで、特に何も無かった。
部屋に来たら来たで、同部屋の和子さんと今朝貰ってたグッズで観戦してたのが分かる位、そんな部屋をしてた。まぁ、バスケ経験者の2人だしそりゃ観るか。
周東「なに、楽しそうじゃん笑」
「ふふっ、今日は勝ちの日ですよ笑」
周東「その記念？笑」
「まぁ、それもありますけど…。
周東さんがあまりにもいい立ち位置にいたので笑」
周東「それついででしょ」
「ふふ笑」
少しの距離から、カメラを構えて数回シャッターを切る。その度に楽しそうに眺めては、またカメラを構えて今度は指示を出し始める。月明かりのいい位置から、もう少し顔を傾げて欲しいとか。自由に動いて欲しいと言われて自由に動けば、少し動き過ぎと注意された。解せない。
でも彼女は、Aは気付いてるだろうか
いやきっと、気付いてないだろうな。カメラを構えて撮る事に夢中で。笑って下さいだの真顔でキメて下さいだのと注文を押し付けているから。
だから、その距離が次第に縮まっているのに気付いていない
周東「捕まえた」
「え…あ、」
周東「やっぱり気付いてなかった笑」
「…まぁ、はい」
周東「そんなに楽しい？カメラ」
「楽しいですよ」
周東「ほう、貸してみ」
そうやって、素直に貸してくれれば今度は立場を逆転させる。あー、こりゃ楽しいわ。ファインダー越しからAはいつもこんな風に見てるのか。
カメラなんて分からないから、其の儘で撮り続けて。カメラから顔を背けて、背を向けて、次第に距離を空けて逃げ腰なAを追いかけて捕まえて、恥ずかしそうに笑って照れて、そんな多様にコロコロと変わる表情を、カメラ越しから眺めては俺も俺で楽しくて笑う。
「も、もう撮るの禁止です！」
周東「Aだって結構撮ってんじゃん笑」
「それが仕事なので」
周東「へぇ、仕事なら時の隠し撮りも仕事の内っすか」
「隠し撮りではないです！」
周東「これは？」
「あっ、見ましたね！？」
周東「何これ恥ずかしいんだけど笑」
「思わず撮ってしまっただけなので、
流石にSNSには投稿しませんよ」
周東「自分用に保管でもする？」
「そ、れは…あの、」
周東「いいよ、しても。
だから俺もこれを自分用に保管しとくから送ってね」
「対価が…」
周東「対等でしょ笑」
#時間の有効活用
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作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月23日 21時
