猫。 [3] (ページ46)

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猫。46 ページ46

B18

山本「Aさん」

「ん？」

山本「写真撮りません？」

｢やだ｣と駄々をこねるAさんを、無理やり引っ張りながら駐車場に向かうのは慣れた。所々手が掴めそうな角に手を引っ掛けて足止めをさせるけど、力の差ってのがある。Aさんは弱い。

鍛えていたとしても、体格差ってのがね

未だに｢やだぁー｣とか言ってるけど、その声が何とも病院に連れてかれる猫の鳴き声に似てて面白い。

山本「Aさーん笑」

「お前WBCで何処かの大谷翔平に感化されてるだろ」

山本「それ名前出てますし、
まず初めに感化されたのは貴方ですから笑」

「アメリカ行ったら更にクソガキさが増すんだろうなぁ」

山本「あー人聞きが悪いっすね」

「英語の世界で日本語が伝わらないのをいい事に、
何かしら変な日本語でも教えて

チームメイトを侵食すると見た」

山本「それもいいっすね笑」

「怖いわー何処かの山本由伸」

山本「何処のやまもとよしのぶですかねー笑」

助手席に座ってグチグチとものを言うAさんの事をもう聞けないと思うと、誰が聞くんだろう。

サチさんはFAが決まったし、残る人はそれなりに変わらずいるだろうけど、何だかそれもそれでジェラシーを感じる。Aさん大好き人間は大勢いるからなぁ。

それでいて、俺の知らないうちに…

山本「あ、Aさん」

「何？」

山本「っ笑Aさんは猫が好きですけど、
猫アレルギーなので飼っちゃダメだすよ」

「…知ってたし、」

山本「はいはい笑」

「由伸は、実はもうピーマン食べれるんだから
ちゃんとピーマン食べろよ」

山本「え、嘘でしょ」

「実は至る所にピーマン入れてたりして」

山本「うわー、俺もまだまだっすね」

「何が」

山本「クソガキ具合」

「ひっど笑」

もう機嫌は治った様でよかった

開けられた窓から入ってくる、少し冷たい風が車内に入ってはくるけど、この空間はなんとも暖かい。

目的地に着けば、嫌嫌してたのが振り返した様に渋々シートベルトを外す。でっかい溜息を吐いたAさんが、いつもの嫌そうな顔でこっちを向くから更に笑える。

山本「Aさん」

「なに」

山本「俺の知らない所で結婚とかしないでくださいね」

「由伸こそ」

山本「？」

「アメリカのドタイプな奴とか見つけんなよ」

山本「俺は一生百々瀬A推しのリア恋なんで
Aさん以上にタイプな人はいないですから」

「あっそ」

#推しが尊い

(照れました？)
(俺今でもお前に言われたの覚えてるからな)
(流石記憶力いいっすね笑)
(バカタレ)

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