猫。13 ページ13
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-- それにね?私、貴方との子を妊娠してるのよ?笑
何言ってんだろう…この人
言っちゃ悪いけど、俺はあの人とは違う。そもそもそう言う所に誘われた事もないし、巨人のあの人から「理想を崩したくない」と言われ、足を踏み入れた事もない。
世間的には色々問題のある人でも、仕事はできるし人としてもいい人の類ではあるからいいんだけど…。
由伸の顔を見れば、まさに「行ったんですか?」みたいな顔されてるけど、ちゃんと首を振れば「ですよね」みたいな顔を今度はされる。
山本「あ、来ましたね」
「うん」
電話の事もこの人が話してたし、警察が来たんなら事情を話せば少なからず何とかなるだろう。
心当たりも何も無いし、誰かも分からない。自分と関わりあいのある人間ならそれなりに知ってる。けど、日頃からファンの方々との接触なんて不特定多数で、人1人特定の誰かなんてのはない。
男女共に、服装やらで分からないし
「スマホっていつ届くんだっけ…」
山本「明日の昼頃には来ると思いますよ」
「はぁ…」
山本「電話番号とか、変えます?」
「なんで?」
山本「いや、何か引っかかる事があって…
ごめんなさい。こんな時に言うのもあれですけど、
そんな不快そうな顔しても、俺Aさんの顔好きです」
「うわー」
山本「はは笑…でも、本当に引っ掛かる事はあるんですよ。
電話番号、どうやって知ったのかなって」
そんなの今時特定する人がいるんだから、そこから特定でもなんでもしたと思うけど…。何て思う。
人間好きでしょ、そう言うネチネチと人の個人情報探っては、晒す人。俺悪い事何にもしてないのに、こうやって晒されてそれを鵜呑みにして電話かけて、今みたいに人の住まい迄押しかけてくる人って嫌い。
「やな人間」
山本「キレないでください、ね?」
「ん」
山本「ん?」
「寝よ。いつもみたいに抱きしめてよ」
何か、こんな精神的疲弊を経験するのはあの頃だけにして欲しかった。罪悪感や焦燥感とかでいっぱいっぱいで、全てを吐き出したくなったあの頃だけが。
広い部屋を選ばれたのも、本当は狭いのが良かったのを球団の人間が選んだ場所で。たった一日で終わった俺の一人暮らし生活が、由伸が一軍に上がって数年の時には二人暮しと変わった。
最初は嫌だったのに。監視されてるみたいで。それでもここ迄、落ち着く所迄行ったのには、少なからずマシになったのかもしれない。と、ここはポジティブに考えよう。
(珍しい…笑)
(何も口に出さず思わず寝ろ)
(はーい笑)
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作者名:RIKU | 作成日時:2023年9月21日 11時