一途。43 ページ43
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クライマックスシリーズ迄には何とか挨拶も済ませて、板東くんは福岡へと戻って、私は私で東京の方に向かった。
今年、日本シリーズ迄終われば一段落が着く
プロ野球の、それもパ・リーグのみを専門としたオフィシャルサポーターを務めて11年は経つのか…。
長いなぁ…
山崎颯「Aさん」
「あ、颯一郎くん」
山崎颯「Aさん」
「んー?」
山崎颯「俺、Aさんが結婚しても、
好きにならない事はありませんから」
「ん?」
山崎颯「や、だから…本当は俺と結婚して欲しかったし、
俺を好きになって欲しかったっすけど…
でも、Aさんの人生の一部が
板東さんによって幸せになるんだったら身を引きます」
「ふふっ、なにそれ笑
そうだねぇ…お互い幸せになりたいと言うよりも、
私にとって生活する上で板東君との生活を共にして
それで得られる幸せなら御の字。
確かに板東くんによって幸せになるのもいいけど、
この人を幸せにしたいって言う気持ちの面が強いから
逆にしておいて」
板東くんと会う時も、話す時も、ご飯を食べたり、遊びに出かけたり。電話して、写真を送りあって、言葉を送り合う時も。板東くんはよく笑ってる。笑うって言うより、はにかんでるに近い。
ふとした時の照れ隠しも、身振り手振りで伝えたり、時々出てくる訛りは可愛いなって思う。だけどね、一緒にいればいるだけ、過ごす時間がゆったりしてて、名残惜しそうな顔して別れるのも可愛い。
意外と、恋人未満での付き合いも悪くなく楽しい事の方が多い
「颯一郎くん」
山崎颯「はい」
「颯一郎君ってさ、」
山崎颯「???」
「面白いよね」
山崎颯「はい??」
一途で真っ直ぐしかない性格でも、照れて恥ずかしくなると笑いに走る時もある。それでも、本当に気付かない程に恋に純粋なのかなって思う。
「何処に行った」、「誰と行った」、「それがこの写真」と楽しそうに話して、自慢して、楽しさを全面に出しつつも何処か愛おしい気に見つめてたりとかね。それに、よく考えたり。誰かが「こんな事したら喜ぶよ」とか言ったものを本当にやった時、その時の反応の話に花が咲く。
可愛くて、面白い
「じゃ!私カメラ持ってこなきゃだから行くね」
山崎颯「や、じゃ!じゃなくて何すかいきなり!」
「えー、練習は?着いてくるの?笑」
山崎颯「行きます!行きますけど、知りたいんで」
「知りたい?」
山崎颯「はい」
「んー…そうだなぁ…
他の誰かの花瓶に入れられない様にとしか言いようが無い」
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作者名:RIKU | 作成日時:2023年8月16日 19時