一途。41 ページ41
Sh50
｢うちの娘を、宜しくお願いします。｣
これ迄話していた雰囲気とは一変して、その言葉が何よりも重く感じたのは、それだけAさんを大切に育てていたからだと言うのがよく分かる。
板東「はいっ！」
「ありがとう笑」
まだまだ緊張気味な俺に、微笑ましく見つめられて少し恥ずかしいけど…笑
だけどそれよりももっと緊張するのが、やっぱりAさんのお父様と2人になる事。Aさんはお母様と一緒にキッチンに行った。それで必然的に2人になる訳で…。先発投手に選ばれる以上に緊張するのは本当だ。
.｢そう緊張しなくていいんやけどなぁ…笑｣
板東「いえ、その…えと、」
.｢スポーツ選手なんやから、
数ある緊張なんて経験しとるやろーに笑｣
板東「あ、はは…笑」
.｢板東くん｣
板東「はい」
.｢もし、君達に子どもが生まれた時、
女の子は覚悟しておいた方がいい。
こんな風に嫁ぎに行く側だからね、寂しくなる事になるから｣
板東「っはい、笑」
.｢小さい頃はパパと結婚するー言うておいて、
こうして大人になった時には
父親以上にかっこいい人連れてきて吃驚するしな｣
板東「いやいやいや、僕は、」
.｢プロ野球選手ってだけでも緊張するのにな、
困った困った笑｣
1度画面越しで顔を合わせてはいたから分かるけど、お父様も十分イケメンに分類する人だと思う。
黒縁メガネで、少し生えた髭。髪の毛はオシャレにパーマをかけてはいるものの、ビシッとスーツを着たダンディタイプのお父様。
そしてお母様もお母様で綺麗な人だ。パッチリとした大きな瞳が特徴的で、Aさんよりも小柄。だけど緊張してる俺に｢一度会ってるから気を楽にしてね｣何て、優しい言葉を貰った。
いい人達だなぁと思いつつ、顔立ちから少しの仕草迄が似てる所があって、親子だな何て思ってた。親子だけど。
.｢湧梧くん｣
板東「っは、はい！」
.｢湧梧くんって、Aの何処に惚れたん？｣
板東「え…や、の…。
一目惚れなんです…笑
キリッとした仕事の姿勢もありつつ、選手一人一人に対して
話しやすさや野球の魅力を全面的に惹き出す話し方とか。
球場入りから試合終わり迄、挨拶に来るといつも笑顔で
そんな所に、はい…笑」
.｢よく見てるんやねぇ笑｣
板東「視界にどうしても入ってしまって、笑」
.｢ええなぁ笑｣
板東「…お父様は、お母様の何処に惚れたんですか？」
.｢えぇー？それ聞く？笑
そうやなぁ、俺も湧梧くんみたいに一目惚れって事で笑｣
板東「ははっ笑」
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作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月16日 19時
