一途。33 ページ33
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板東「Aさん、今日家行っていいですか?」
「え、ホテルじゃなくていいの?」
板東「はい」
「監督にも話して許可が出たら、いいと思うけど…」
板東「監督にはもう話してますし、許可も貰ってます」
準備がいい事で…。
晴れて婚約者になっても、板東君との距離感はあまり変わらずとも言い難く、されど少し変わったとも言える程にはある。
よく話しかけくれる所は変わらず、だけど今日あった様に腕を引かれたり、今迄と少しだけ近付いた距離で話したりする所は変わったと思う。今迄は、少しもどかしい具合が歯痒くて、だけどその距離感だからこその居心地の良さを感じてたけど。
婚約者の立場になってから、こんなにもドキドキする事が増えてて、仕事に支障をきたさないか不安になる。見られる職だから、やっぱファンの目っていうのがね、うん。
「夜ご飯とかどうする?」
板東「あ、の…お願いがあって、」
「ん?」
板東「Aさんの手作りが食べたい」
「あれ、作った事なかったっけ」
板東「朝ご飯めっちゃ美味しかった」
「ありがとう笑」
そう言えば板東君のお家に泊まった時に、初めて手料理作ったかも。朝ごはんで簡単なものだったけど、それでも美味しいと言われるとこの上なく嬉しい。
人見知りもありつつ、少し照れ屋な所もあるけど、こうも率直に言われるとこっち迄照れてくる…。
「何食べたい?」
板東「んー…何にしよう…」
「あ、そう言えば豆腐とひき肉あった気がするから
何でも出来るね、例えば麻婆豆腐とか豆腐ハンバーグとか」
板東「うーわ、どっちもいいなぁ…笑」
「ね笑」
板東「究極ですね」
「究極だね」
普段家に上げると言っても、家族以外では妹のグループの子とか位で、お父さん以外の異性の人をあげるなんて無かった…。あっ、無かった。え、無いんだけど…!お父さんは確かに男性ではあるけど、家族だからまた別として。板東君は、婚約者。
部屋、大丈夫だったかな…???洗濯物とか、あと書類とか何とか出しっぱじゃなかったっけ。そう言えばここ最近寝落ちした所を大谷くんからの電話で起きた位で、え…大丈夫だったかな…。
「ば、板東くん」
板東「はい」
「ちょっとだけ、家上がるの待ってて貰ってもいいかな」
板東「いいですよ笑」
申し訳ない。お父さん以外で男の人を上げるのなんて、この歳でありながら初めてなんだ。いつもは綺麗だと思う。けど、急に自信なくしてきた…。え、いつもこんな感じだよね?サナやももちゃん達が来る時も、こんな感じよね?大丈夫よね?
ね?
(俺迄緊張する…)
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作者名:RIKU | 作成日時:2023年8月16日 19時