一途。30 ページ30
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《 最後のひとふり 》
山本「Aさん結婚するってよ」
山崎颯「うん、」
確かにAさんは好かれる。好かれるってより、何だろう…好かれやすい。ファンからもそうだし、選手側や球団スタッフ側からも、結構好いてる人が多い。
全てが好意って訳じゃなく、仕事面でも気遣いや配慮があって、それでいて、近い将来の有望な野球児達何かが聞きたい事も聞かせてくれる。試合開始が近い時はあまり凝った深い話はしないけど、でも軽い気晴らし程度にはなる。
勿論そこに好意だってある人もいるけど…。
今目の前にいはするけど、なぁ…。何か、何だろう。颯一って確かに好きになれば一途にはその人を好きなんだろうけど、Aさんと婚約した坂東さんとは、また違った感じに見えるのは俺だけ？
まぁ、色んな形での好きって感情はありまするけど、でも、なぁ？
山崎颯「何？」
山本「いや、…何でもない」
山崎颯「はぁ？そこ迄言ったんなら言えよ笑」
山本「じゃあ、言うけどさ…。
颯一見てると、何かファンみたいだなって思ってた」
山崎颯「はぁ？笑」
山本「いや、ファンの中にはリア恋とかもあるけど、
何方かと言えば好きなアーティストを応援してるファン」
山崎颯「なんの話し？」
山本「第三者の目から見た、山崎颯一郎の恋路。
颯一って、Aさんの何処が好きかって聞かれたら
お前って何処が好きなの？」
山崎颯「え…、距離感」
あー、そうだ。それだそれ。どんなアーティストや著名人のファンでも、決して近過ぎずでも遠すぎない塩梅の距離感で成り立っているからこそ、もっと近くでって言う事になる。
それに加えて、仕事に対する姿勢だとか。颯一それ見てよく｢Aって人を引き立たせるのが上手い｣ってよく言ってる。引き立たせる事が仕事だから、Aさんからしてみればそれが当たり前。
って事は、だ。好きな人は別にいる可能性がある。
山本「Aさんに確かに好意があっても、
それは好きなアーティストや著名人を思うファンと一緒。
颯一ってさ、Aさんと出かけた事ってあんの？」
山崎颯「…あー、おすすめの場所とかは聞いた事あるけど、
2人きりで行くって事はなかったかも…」
山本「じゃあさ、そのおすすめの場所って、
俺達オリメン以外で誰かと行ったりした？」
山崎颯「や、な…あ」
山本「あるんだ」
山崎颯「いやっ！いやいやいや！笑
あいつは、別に…さ、」
山本「何も言ってないし、誰かもしれないけどさ
颯一にとって気軽に誘えるその人って、何で？」
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作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月16日 19時
