一途。24 ページ24
Sh50
板東「湯加減いかがですかー？」
--- いい感じでーす
板東「俺も入っていい？」
--- ビンタするよ
板東「やめまーす」
言ってAさんが入る前に一番風呂頂いたけど。好きな人が自分の家でお風呂入ってるだけで、こうも気持ちの面が昂るんだってのを実感する。
しかも出てきたら自分と同じ匂いって思うと、ここにAさんがいなくて良かったなって思う位にはニヤけてる。絶対。
和子さんとご飯食べに行ったAさん。迎えに来たら沢山おめでとうって言ってくれて嬉しかったけど、車の中に入って和子さんを送ってる中で、急に泣き出したのには焦った。
「お風呂頂きましたー」
板東「ドライヤーの場所分かりました？」
「うん。ありがとうございます」
板東「いえいえ」
「お礼に乾かしてあげる」
板東「えー、恐れ多いっす…笑」
「言って向かい合わせてしてる時点で思ってないでしょ笑」
暖かくも強い風を吹かせつつ、優しい手つきで乾かしてくれるから、何か心地いい。膝立ちになってるから目の前にはAさんの体がある。
自然と抗う事無く手を伸ばせば、細いウエストに辿り着く。身に纏う服が自分が貸した服だから、Aさんの体つきからしてみてもブカブカで。抱きしめれば更にその体の細さが分かる。少し笑ってるのか、体が小刻みに揺れてる感じが伝わって、思わずつられて笑う。
「はい、終わったよ」
板東「ありがとうございます」
「ふふっ、いーえ笑」
板東「Aさん」
「んー？」
板東「正直な話していいですか？」
「お、なに？」
板東「Aさんから告白された時、
この人男前過ぎるって思いました」
「どう言う事w」
板東「好きな人にはやっぱり自分から伝えたかったけど、
あの場で俺が靴も脱がせずに入れたから、
だからあの場であー言うの言えて凄いなって、」
「じゃあ凄い人で良くない？笑」
板東「いや、男前っす笑」
「いややぁ、男前じゃなくて凄い人じゃあかん？」
板東「ね、それズルいって分かってます？」
「わわ、ねね、笑」
板東「急に方言出るのはあざとすぎる」
いつもは束ねられてる髪の毛も、下ろしてしまえば全てが彼女の味方をしてて、耳にかければ小さな耳がほんの少し赤く染ってる。
本当、この人には翻弄されてばかりいる。それが悔しいとは思わないけど、何処か余裕綽々していてもこうやって体の反応がある事が、可愛くてもっと良く乱したいとさえ思う。
「耳は噛むものじゃないよ」
板東「でも言ってビクってしてて可愛いけんしたくなる」
「そっちこそ急な方言やめてくれん？」
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作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月16日 19時
