一途。19 ページ19
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気まずいエレベーターの中。上に上にと昇って行くに連れて、逃げ出したくなる。板東君が何を話したいのか分からなくて、だけど醸し出す雰囲気は少し不穏過ぎて。そんな私の心情を知ってか知らずか分からないけど、繋がってる手に少し力が籠ってる様に感じる。
初めて来た、板東君の住んでる所。いつも送って貰ってる側だから、逆に板東君は私の家は知っているだろうけど。
安全面が考慮されたエレベーターのドアがゆっくりと開いてしまった。手を引かれる様にその廊下を歩くけど、どっかの恋愛ドラマみたく歩いてるのがスローモーションに感じる。
入るのか、遂に。入ってしまうのか…。何だかな…人の家って言うのもそうだけど、異性の家って言うのも…。学生の頃ありはしたけど、大人になってからこうも緊張するものだっけってなると、全思春期真っ盛りの子達安心して欲しいなって思う。
大人になってからも、異性の家ってだけで緊張するよって
板東「Aさん、」
「う、は、いらなきゃだめ、?」
板東「ここで話す?」
「いや、中で、うん」
板東「どうぞ」
後ろ手からドアが音を立てて閉まる。広々と、余裕がある程の玄関で、靴を脱ごうとした時
「っわ、え、待って待って、靴…ま、だ」
板東「これで出ていけないでしょ?」
「いや、まぁ…そうだけど、」
板東「Aさん」
「はい、」
板東「伏見さんとご飯行ったんですか?」
「行った」
板東「…Aさん」
「はい」
板東「距離近過ぎ」
ソファー迄抱えられて、中迄一気に入ってきたけど項垂れる板東君にもそうだし、綺麗なソファーや床やそして板東君に如何に汚さないようにいられるかに意識が持って行かれる。
流石に床に足をつける訳にも行かないし。板東君が抑えてくれてるから有難いけど…、その板東君には抱き着かれてるしで。いやでも、本当好きな人なだけあって心臓飛び出そうな位バクバクしてる。あと、暑い。色々と。
「あの、板東君…逃げないからさ、靴脱ぎたい」
板東「…ん」
「何から話そう…そうだな…えと、先ずご飯は
伏見さんだけじゃないのは、分かって欲しい。
あの場には伏見さん以外の選手も人もいた」
板東「まぁ、それは見ました」
「うん。まぁ、距離は…気を付けます」
板東「うん」
後は、話した事迄は言わなくてもいいかな。いいとは思うんだけど、そらでも話してたのは板東君の事だし。でもこれと言って話してたのは、照れる要素何て何も無い。
何も無いはずなのに
板東「Aさん、?」
#今心臓が本当ヤバいの
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作者名:RIKU | 作成日時:2023年8月16日 19時