一途。13 ページ13
Sh50
「美味しっ、笑」
板東「良かったです笑」
「板東くんが選ぶお店って、ハズレがないよね」
板東「そうですか？」
「うん。雰囲気もいいし、お店の人も優しい。
それに何と言っても料理も美味しい」
板東「Aさんの好きそうな所を選んでるだけですよ」
「返しがお上手ですね笑」
ただ美味しそうに食べて、それで好きな人が笑顔になる瞬間を見るのが好きなだけ。Aさんの表情はコロコロと豊かに変わるけど、時に自分よりも大人な雰囲気を出して、それが妙に年の差を感じさせられて、それにどんどん惹かれていく。
恋愛に年齢差は関係ないと言うけれど、好きな人が時に醸し出す年相応な雰囲気が、絶妙にグッと来るものがあるんだと俺は思う。
今だって、そうだと思う。
「ん、…ん？」
板東「Aさんのそれズルい」
「っ、笑どれ？」
板東「その、ん？って。ワザとならアザと過ぎます」
「でもん？って言わない？板東君も言うじゃん笑」
板東「いや、自分のん？には何て思いませんけど、
Aさんのん？には、何か、」
「なんか？」
板東「Aさんって、
男性のここが好きって所あります？」
「んー…、イヤだと思う事はしない所かな。
そう言うのって、よく見てないと分からなかったりするし、
相手の事をちゃんと理解してなきゃじゃん？
私は好きだよ、そう言う所」
お互い、直接好きとは言わない。ただ、さり気なく好きだと伝える。Aさんが俺の事を好きだと思ってるのも知ってる。それは逆も然り。
言ってしまえば付き合える所迄あるのに、こうして時間があれば出掛けて、Aさんの家迄送っては帰るのを繰り返す。ハグもキスもその先もしてない。それは俺達が付き合っていないから。
誰も何も止めてはいないのに、俺達はただ気持ちの面では友達の線を超えてても、形上では友達の線を超えていない。変で不思議な関係。
「板東君」
板東「…あぁ、ん？」
「私も好きだよ、板東君のそのん？って聞き返し」
板東「俺のこれとAさんのそれは違いますよ」
「えー？何処が？笑」
板東「Aさんのん？は、何かあざとい」
「それを言ったら板東君もあざといよ笑」
板東「俺は許されます」
「え、何で？」
板東「Aさんより年下だから」
「私に田中みな実を求めないで」
板東「ははっ笑いや、AさんはAさんでしょ。
俺はそこがいいんで、田中みな実は閉まって下さい笑」
「そもそも出してもないよ笑」
#今はまだ、この雰囲気が心地良い
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作者名：RIKU
| 作成日時：2023年8月16日 19時
