70章ー大切な何か2ー ページ22
外は雨が降ってきたせいか少し肌寒く感じる
一つの派手な包み紙を渡される
「Aに似合うかなーって」
派手な包み紙を開けると掌サイズほどの、シンプルな花の飾りが付いた髪飾りが一つあった
今まで黄金のかんざしや翡翠の首飾り、宝石がちりばめられた耳飾りなど、数えきれないくらい煌やかな貢物が送られてきたが
『…すっごく素敵。』
シンプルだがよく見ると先端の花がキラキラと光っていて尚且つ決め細やかであり、
『一見簡素な髪飾りなのにこの花のおかげでとても高貴に見える』
「なにその鑑定家みたいな風格」
隣で蒙恬が笑う
『嬉しかったから…』
髪飾りを見つめながらふと思う
王女としてでもなく、武将としてでもない、私のしたいことってなんだろう
半年前の北方遠征。少しでも膠に近づきたいというのもあったが
戦いの中で私のしたいことが見つかる
そう思って遠征した
王女でもあり武将でもある中途半端なわたし
信や蒙恬、王賁には大将軍になるという目標がある
じゃあ私は‥?
膠姉様みたいに強くて凛々しい女性になりたいだけなのに
掌にある小さな宝物が歪んで波がかかる
『!』
「大丈夫」
ふわっと、優しく彼の腕に包まれる
蒙恬の香りがする
「俺が君の居場所になるから
大丈夫。
君が君でいる理由になるから、だからっ……」
袖がめくれ、彼のほどよく筋肉のついた腕が優しくも強く私を抱きしめる
___暖かい…。
それに彼といると何故か安心する
___彼の胸の中で瞳を閉じる
信「おーい。蒙恬?ったく…あいつどこ行ったんだよ」
廊下から信の声が聞こえる
蒙恬は目を瞑りAを優しく抱きしめたまま動かない
『…蒙恬?』
Aが声を掛けた直後、彼はゆっくりとAを腕から解放する
「やっぱり、会いに来て正解だった」
優しく微笑む
彼は立ち上がりドアノブに手をかける
「明日の夜も…来ていい?」
いつもより小さな声で問う彼は、ドアノブを握ったままこちらを振り向かない
『……うん、待ってる』
声に力が入らず更に小さな声で返答してしまう
ちゃんと聞こえたかな
「良かった」
彼は振り向いて名残惜しそうに笑い
部屋を後にした
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のの909 - 夜間飛行士さん» 色々な作品、ありがとうございます・・・! (2022年4月7日 21時) (レス) id: 39b5b02acb (このIDを非表示/違反報告)
夜間飛行士(プロフ) - のの909さん» いえいえ、とんでもないです。嬉しかったです、ありがとうございます!! (2022年4月6日 9時) (レス) id: 46d47b76d9 (このIDを非表示/違反報告)
のの909 - 夜間飛行士さん» ぜーんぜん大丈夫です。こっちこそごめんなさいw (2022年4月6日 7時) (レス) id: 39b5b02acb (このIDを非表示/違反報告)
夜間飛行士(プロフ) - のの909さん» ののさんいつもありがとうございます!!*❇︎ すみません、お誘いとても光栄なんですが、私が不定期&かなり雑な人間ですので、せっかくお誘いいただいて申し訳ないのですがやめた方が御身のためです‥笑お誘いいただきありがとうございます(T_T) (2022年4月5日 22時) (レス) id: 46d47b76d9 (このIDを非表示/違反報告)
のの909 - これでみるの5回目だー (2022年4月5日 22時) (レス) id: 39b5b02acb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜間飛行士 | 作成日時:2019年10月12日 23時