コード・ブルー -Best Partner 2- (ページ3)

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No.50 ページ3

(白石)

駆け込んで来た緋山先生は扉の前で立ち、ストレッチャーで運ばれて意識がないAと冴島さんを見て固まる。
藤川先生は真っ先に冴島さんの元に駆け寄って、私と同じように手を握ってる。

「はるか！！」

「え、待ってどうなってるの？Aまで」

「おい、藍沢！何を投与したんだ！！」

「……まだだ」

「……は？白石！あれから何分経ったんだ！！」

「……20…分…」

「20分…！？嘘だろ、はるか！！頼む、頼むよ藍沢。早くしないと桜井もはるかも間に合わなくなる！！」

その時、嫌な音が鳴り響く。
誰もがその音が鳴らない事を願っていたのに、その願いを砕くように鳴り響いた。

「A先生の血圧が…！」

「A！！」

それと共にカランとプラスチックが落ちるような音がした。
私はどこからと思って探すと、私が握っているAの手の反対側。

「灰谷、何でもいい。あの時の体調、様子、全て教えてくれ！」

「目眩…それと吐き気が…あとは…」

「亜硝酸アミル…？」

「白石…？」

私はAの手から落ちた物を読む。緋山先生がどうしたのかと近くに来てくれたので見せると驚いた顔をする。
これは、確かシアンの解毒剤に使われる物。
まさか！？

「灰谷先生！Aに何か質問されなかった？」

「さ、されました……に、匂いがする？って……」

「どんな匂いだ！」

「甘酸っぱい…甘い匂いです…」

「藍沢先生、Aがこれ…！」

「っ、シアンだ」

Aは自分が匂いに分からないことに気付いたんだ、だからこれを手に……。
あれから何とか解毒剤を投与でき、冴島さんとAはICUに移動した。

「藤川、白石。」

「……下手したら植物状態になるかもだろ」

「……あぁ、それと多分だが桜井は冴島と灰谷を守っていた」

「…え？」

「あの時、シアンだといち早く気づいたのは紛れもなく桜井だ。だが、毒物が何かまで最初はわからなかったからかすぐ取れる酸素マスクの一つを冴島に渡し、もう一つは患者ように念の為に置いていたが嘔吐して駄目にしてしまった」

「……残りを灰谷先生に渡したから、あの時近くにあるマスクは無くて反対側にあるマスクまで届かなかったからAに酸素マスクがついてなかった。でしょ…？」

「……あぁ。それに灰谷が言うには、桜井何度も自分の舌を噛んで意識飛ぶのを防いで冴島と灰谷の身の安全を第一にしていたらしい」

私はAの頭を撫でることしか出来なかった。