コード・ブルー -Best Partner 2- (ページ13)

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No.60 ページ13

(白石)

何とも言えない空気が、私とAの間で流れる。Aの隣にいる冴島さんも不安そうに私達を見ていて、緋山先生も私の後ろにいるだけで何も言わない。

『……あ、ほら仕事を』

「もう殆ど終わらせてる」

『……そ、そっか！流石だね』

Aの言葉を遮るように言えば、藤川先生も私達の様子を見るように歩いていた足を止める。

「ねぇ、そんなに頼りない？」

『……そんな事ない』

「それなら、どうして何も話してくれないの？」

『……それは、恵には関係ない話だから』

関係ない話？
Aがどんな想いでここに立ってるのか、何があってあんな事になったのか。
親友として、私は少しでも力になってあげれたらって思ってたけど。

「ちょ、ちょっと白石？この仕事頼みたいんだけどー……」

「あ、あー！A、聞きたいことがあるんだけど…？」

『ん？はるちゃん、どうしたの？』

緋山先生と冴島さんが、空気を変えようとしてくれてるのはわかってる。
でも、ごめんなさい。これだけは我慢出来ない。

手に持っていたカルテを、パソコンが置かれてる隣に叩き付ける。
そんな事をすれば、藍沢先生もこちらに視線を向けるわけで。

「白石、気持ちも分からなくはないがここは……」

「……んで」

『……めぐ？』

「関係ない話って何で？」

『……え』

「……私は昔何もしてあげられなかった、それでも遅くなったけとAが困ってたら助けようって思ってた…！」

「白石！冴島、Aお願い！」

「はい、白石先生をお願いします！」

そんな声が聞こえるけど私はどんどん走っていく。止められる声が聞こえる、でも走る足を緩めるつもりなんてない。
もう、Aに合わせる顔がない。

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(桜井)

恵が本気で怒った。
そして、それが何故なのかもわかってる。でも、私にはどうする事も出来ない。

「……A、あのね」

『大丈夫、分かってるから』

「え…？」

『私が心配してくれてる恵に関係ないって言ったのが悪かったのはわかってる。でも、そう言うしかなかった』

そう、恵を守るためにもそう言うしかなかった。
海外にいた時、私は橘先生と黒田先生、三井先生のシニアドクターにしか伝えてなかった。
でも、あの男は私が務めていた病院に来た。この病院にいることもバレてるかもしれない。

『……時間の問題だから』

次、あの男が来たら私は普通でいられる自信が無いんだ。