コード・ブルー -Best Partner 2- (ページ12)

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No.59 ページ12

(白石)

Aと確か天野さんがベッドで話してる。
冴島さんの顔が少しだけ強ばったのを、私と緋山先生で気付いて皆で心配になり、ICUへと向かう。
Aはチラッと私達を見るけど、そのまま話を始める。

知らなかった、あの子がバスケを辞めたのがそんな理由だったなんて。
てっきり、怪我したりとかなのかと思ってたから。

そして、次に聞こえた言葉に私は驚愕した。

『あの男は私の全てを奪った、だから私はあの男を殺すために医者をやってる』

手からカルテが落ちる。
親友がそこまで思い詰めてて、追い込まれてたのを知らずに私は今まで何してたんだろう。

「……お兄ちゃんは何て？」

『私を良い医者だって笑って言ったよ、訳分からないでしょ？実の父親の医師生命を潰そうしてる医者を良いって言うなんて、理由を聞いたら「本当に復讐しかないなら、Aは俺を救うために睡眠時間を削ってまで探さないから」だって』

「……お兄ちゃんらしい」

『そうだね、でもその言葉のお陰で私は復讐だけじゃないって気づけたの。確かに、あの男を殺すために医者になった。けど、何処かで人を救うこの仕事にやりがいを感じてた。涼太くんのお陰で、私は今ここにいるよ』

「うん、やっぱりお兄ちゃんの主治医がA先生で良かった！あ、でも本当のお姉ちゃんになって欲しかったけどね？」

『あはは！そう言ってもらえると嬉しいなぁ、涼太くんに怒らなきゃね』

私は何も知らなかった。
7年前にもあったのに、それとは別でAはずっと隠してたのに。

天野さんは満足したのか、脳外科の方へと戻って言った。
新海先生は少し気まづそうにAの元に寄る。

「すみません、俺の軽率な言葉で桜井先生を傷付けましたよね」

『え？』

「…奏ちゃんの悩み、桜井先生も経験してたんですね」

『……はい。奏ちゃんはピアノ、私はバスケ、新海先生なら腕。誰にとって何が命より大切なのか分かりませんから、しょうがないですよ』

「これから気を付けようと思います、桜井先生お大事になさってください」

『ありがとうございます！』

新海先生と話し終わったAは、私の方を見ると優しく笑った。
ねぇ、どうして笑って隠すの？

「……ねぇ、A」

『ん？』

「私ってそんなに頼りない？」

『……めぐ』

「何も知らなかった、7年前でやっとお父さんとの件を知ったけど。今日の事なんて何も知らない」

『……ごめん』

私は謝って欲しいわけじゃないのに。