No.35 ページ36
(桜井)
私服に着替えてエレベーターへと向かっていると藍沢と知り合いという枠では収まらない彼女が立っていた。
彼女の名前は天野奏ちゃん。
中学2年生で私は昔、彼女の大切な人の主治医だった。
そんな彼女と会うのはあの時以来で正直、どんな顔をすればいいのか分からない。それ以前に私が彼女と会う資格なんてないんじゃないのかと思ってしまう。
「知り合いだったのか」
「…まぁ少しね」
「……あ！私、飲み物買ってくるね！」
変に気を遣わせてしまった、大人の私より彼女の方がしっかりしてる。
何とも言えないこの複雑な気持ちの表し方が分からなくて、私はいても立っても居られなくなった。
だからだろう、逃げるように笑ってその場から離れようとした。
「…それじゃ！私はお先に〜」
「あぁ」
手に持っていた鞄を持ち直し、後ろを振り返ることなくエレベーターへと歩を進める。
後ろからは藍沢だけでなく、別の声も聞こえるからこっちに来る事は無いね。
チラッと見てみれば脳外科のスクラブを着ていたから、多分だけど同期なんだろうな。
エレベーターに乗って時計を確認すると、既に20時半過ぎてしまっている。
今日は早めに上がれそうだったのなぁ……。
「……はぁ、いや車を飛ばせば大丈夫…かな？」
恵にバレたらそれはもう恐ろしいお説教が待っているだろうけど、恵と美帆ちゃん、それにはるちゃんもお店で待ってるだろうし怒られないはず。
駆け足で駐車場に向かい、海外にいた時に買った愛車に乗り込んでエンジンをかける。
恵が住んでるマンションに止められて良かった、じゃなきゃ今頃この子は廃棄されて……。
アクセルを踏んで、お店に向かいながらこの後起こるであろう未来を予想する。
「……きっと、2人とも飲んでるんだろうなぁ。また私がお世話する立場だね、うん」
呆れつつも他の事では頼りきってるから何も言えない。
恵はお酒を飲みすぎなければ酷くないから飲みすぎてないことを祈ろう。
7年前のあの日はやばくて、連れて帰るのにも一苦労した事を忘れない。
車を近場のパーキングエリアに止めて、鍵を閉めてからフェロー時代から常連客の一人として訪れるお店の扉に手を触れる。
相変わらず目立つ看板だな〜、店主もある意味目立つんだけどね。
「やっほー、洋子さん」
「あら、Aじゃないの！」
「久しぶりって……うそでしょ」
はるちゃんが困った笑顔を私に向けてくる時点で察した。
既に飲みすぎ一歩手前じゃん！？
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Yuri - 更新、楽しみにしています！ (2018年8月2日 21時) (
レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - ☆ゆゆまる☆さん» ありがとうございます。すぐに確認し訂正させて頂きます。 (2018年5月27日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - みかさん» 返信遅くなりすみません。ありがとうございます、すぐに訂正します。 (2018年4月14日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
みか - No.１８で「行ってたの」が「言ってたの」になってますよ (2018年4月2日 13時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - 真衣さん» 感想ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2018年3月30日 14時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚希拓海 | 作成日時：2018年3月20日 21時
