No.29 ページ30
(桜井)
『それにね、7年前も言ったけど"私達を頼って"？』
「……A」
『藤川だってお調子者で馬鹿だけど、ちゃんとはるちゃんの事を一番に考えてくれてる。
恵は折れやすいけど私達の事を一番に考えてくれる、美帆ちゃんは気が強いけど誰よりも心の傷を知ってる。藍沢は人の命を誰よりも知ってる。』
ほら、はるちゃんの周りには頼れる強い人が沢山いるでしょ？と言葉を紡ぐ。
はるちゃんは確かに強い。
"氷の女 冴島"なんて呼ばれてるけど、一人で抱え込んで溜め込んで助けて欲しくても言えない所がある。
多分、そこが弱い部分。
『ゆっくりでいい、少しずつ頼ってこ？』
「……うん。ありがとう、A」
『ふふ、どういたしまして！』
タイミング良くPHSが鳴り、画面を見ると美帆ちゃんの名前。
あれ、急患でも入った？
『もしもし？どうしたの？』
《すぐICUにきて、藍沢がまたやらかしそう。怒った白石は私らじゃ手の施しようがないから先に止めて》
『はぁ……分かった、すぐ戻るよ』
PHSってこういう理由で使うものじゃないと思うんだけど。そう思いつつも言葉は飲み込んで、溜息を付きながら立ち上がる。
ほんと、どうにかならないのかなあの医療バカは。
「急患？」
『んーん、藍沢のストッパー』
「PHSってそういう使い方だった…？」
『絶対違う』
はるちゃんの呆れ顔を見てから意識を切り替えてICUへと向かう。
すると、ちょうど藍沢が横峯先生を連れ出して胸腔ドレーンを実施させた時だった。
「───ここには練習台が山ほどいる」
それから先の言葉は私の耳には入らなかった。
隣にいるはるちゃんが心配そうに私に声をかけてくれるけど、今の私は正気じゃない。
今まで、どれだけ美帆ちゃんや藤川に言われても私は藍沢にも恵にも口を出さなかった。
それは、2人の考えを間違ってるとは思わなかった。
教え方は反対だけど言ってる事は実際正しいから何も言わずにいた。
けど、これとそれは別問題。
『ねぇ、藍沢』
「何だ、お前も白石と同じように口出し……」
藍沢の言葉が続かないのも無理ない。
後ろにいる恵と藤川、はるちゃん、少し遠くにいる美帆ちゃんが固まる。
『あたし、別に藍沢の指導の仕方を悪いとは思わない。言い方には刺があるけど言ってる事は間違ってないから、恵にも同じ。でも』
だって、私がキレたのは初めてだから。
『……患者を物扱いすんなって前にも言ったよな？』
それだけは絶対許さない。
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Yuri - 更新、楽しみにしています！ (2018年8月2日 21時) (
レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - ☆ゆゆまる☆さん» ありがとうございます。すぐに確認し訂正させて頂きます。 (2018年5月27日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - みかさん» 返信遅くなりすみません。ありがとうございます、すぐに訂正します。 (2018年4月14日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
みか - No.１８で「行ってたの」が「言ってたの」になってますよ (2018年4月2日 13時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - 真衣さん» 感想ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2018年3月30日 14時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚希拓海 | 作成日時：2018年3月20日 21時
