No.11 ページ12
(白石)
現場について奥へと進んだ時に倒れた山車の近くから救助された女性の処置をしていた時、女性が口を動かした。
私は何かと思って耳を近づけながら話しかける。
「……こ」
「こ？どうしましたか？」
「……こ」
こ。何だろう、何か伝えようとしてるのは分かるけど何を伝えようとしてるのかまでが分からない。
そう思いながら処置を続けていけば少し前から走ってくる横峯先生の姿が視界に映る。
「白石…先生…！」
「何？横峯先生」
「こ、子供…が！」
「はっきり言って」
「子供が！子供が小屋の中にいるんです！」
子供…？
まさか、さっきの"こ"って！？
「お子さんいますか？もし、いたら手を握ってください」
私の手を弱々しくも握っている。でも、横峯先生が走って伝えに来たって事は誰が処置してるの？
「横峯先生、その子は今誰が処置してるの？」
「……それが……桜井先生が血を流しながら…その…」
「……ぇ。怪我をして十分に処置出来ない桜井先生を置いてきたの！？何のために貴方はシーバーを持ってるの！！」
ついカッとなって言ってしまった。見るからに横峯先生の顔も暗くなってる。
それよりも桜井先生の方に行かなければ。
「横峯先生はこの女性をお願い、バイタルの変化に注意して」
医療用バッグを持って横峯先生に言われた小屋に向かって走る。
中を覗けば足元は不安定で転びそうな場所。
足元に注意しながら奥へと進めば、倒れそうな壁を片手で抑えて血を流してる幼馴染の姿。
「A！」
『……あ、めぐ。もう、勤務中だよ…？』
血を流してるせいか笑ってるけどだいぶ辛そうに見える。
それに呼び方が昔の呼び方に戻ってるから辛いのがすぐ分かる。
「今はいい。それより、Aの出血止めないと」
『大丈夫、傷が何処にあるかは分かってるから。ただ、ペンライトとシーバー落としたっぽいから変われる？』
「けど止血はしてよ？変わるのは大丈夫、サポート回ってもらってもいい？」
『もちろん、止血するからちょっと待って』
そう言って普段のふにゃっとした笑顔をしてから、彼女は止血し始める。
止血と言っても応急処置のようなものだからガーゼ付き絆創膏を貼り付けただけ。
本当は消毒をしたい、けど目の前の男の子を救うためにはしょうがない。
「後で傷見るから、それと無茶しすぎ」
『はーい、今日はお説教フルコースですか…』
「A？」
『ごめんなさい』
本当に困った幼馴染だ。
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Yuri - 更新、楽しみにしています！ (2018年8月2日 21時) (
レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - ☆ゆゆまる☆さん» ありがとうございます。すぐに確認し訂正させて頂きます。 (2018年5月27日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - みかさん» 返信遅くなりすみません。ありがとうございます、すぐに訂正します。 (2018年4月14日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
みか - No.１８で「行ってたの」が「言ってたの」になってますよ (2018年4月2日 13時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - 真衣さん» 感想ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2018年3月30日 14時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚希拓海 | 作成日時：2018年3月20日 21時
